ウィリアムズ症候群の成人とエラスチン機能不全のマウスにおける気流閉塞
Airflow Obstruction in Adults with Williams Syndrome and Mice with Elastin Insufficiency.
Kronquist EK(1), Kaur M(1), Gober LM(1), Knutsen RH(1), Fu YP(1), Yu ZX(1), Donahue DR(2), Chen MY(1), Osgood S(1), Raja N(1), Levin MD(1), Barochia A(1), Kozel BA(1).
Author information:
(1)National Heart Lung and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
(2)National Institute of Neurological Disorders and Stroke, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20824, USA.
Diagnostics (Basel). 2022 Jun 10;12(6):1438. doi: 10.3390/diagnostics12061438.
ウィリアムズ症候群はヒトの染色体7q11.23領域上にあるエラスチン遺伝子を含む25個から27個のコーディング遺伝子の欠失を原因とする。エラスチンは臓器に反跳性をもたらし、肺気腫や慢性閉塞性肺疾患などはこれの破壊に関連している。このため、エラスチン機能不全が閉塞症状の素因になるという仮説を立てた。ウィリアムズ症候群の成人22人(年齢が18歳から55歳)と対照群が肺機能検査と6分間歩行と胸部CTを受けた。マイクロCTを利用し組織学的観点で肺と気腔の大きさを、エラスチン遺伝子の欠失例(Eln+/-)と対照群のマウスで比較した。強制呼気時の1秒量と努力肺活量に対する1秒率はウィリアムズ症候群の成人では低い(それぞれp<0.0001とp<0.05)。対象例の1秒率は正常例の下限値を下回る頻度が高い(p<0.01)。総肺気量に対する残気量の割合(予測100分率)は対象例で高く(p<0.01)、このことは空気の閉じ込めが発生していることを示している。ウィリアムズ症候群の患者は運動肺気量(exercise capacity)が減少している(p<0.0001)。Eln+/-マウスでは、生体外に取り出した肺の容積は増大しており(p<0.0001)、気腔も大きい(p<0.001)。これらを合わせて考えると、エラスチン機能不全は、空気の閉じ込めと閉塞という観点から肺の生理機能に影響を与えることを示しており、ウィリアムズ症候群の成人に対する肺機能モニター実施の必要性を示唆している。
(2022年7月)
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