リボソームRNAに対する化学修飾



Chemical Modifications of Ribosomal RNA.

Sharma S(1), Entian KD(2).
Author information:
(1)Department of Cell Biology and Neurosciences, Rutgers University, Piscataway,NJ, USA. sunnysharma@daad-alumni.de.
(2)Institute of Molecular Biosciences, J.W. Goethe University, Frankfurt/M.,Germany. entian@bio.uni-frankfurt.de.
Methods Mol Biol. 2022;2533:149-166. doi: 10.1007/978-1-0716-2501-9_9.

3種類の全生物界における細胞RNAは様々な化学修飾を受けて変化している。これらの化学修飾はRNAの形態的レパートリーを拡張し、その機能を微調整する。酵母菌のリボソームRNAは、機能的に重要で、かつ進化的に保存された領域に100種以上の化学修飾された残基を含んでいる。リボソームRNAにおける化学修飾は、C2-positionAbstract位置におけるリボース糖の3種類のメチル化(Nm)、ウリジンの偽性ウリジンへの異性化(Ψ:psi)、メチル化(mN)やアセチル化(acN)やaminocarboxypropylation化(acpN)などの基本的修飾のどれかである。酵母菌のリボソームRNAに対する修飾プロフィールは最近になって完全に解明され、これらのRNA代謝や細胞生理学における修飾の機能を分析するための優れたプラットフォームになっている。注目すべきことに、酵母菌で発見されたRNAに対する化学修飾と酵素の機構の大部分は、ヒトを含む真核生物でも保存されている。リボソームRNAの修飾に含まれる要素に対する突然変異はヒトにおけるいくつかの希少疾患(例: X連鎖先天性角化不全症、ボーエン・ コンラーディ症候群、ウィリアムズ症候群)と関連している。本章では、出芽酵母におけるリボソームRNAの全修飾とそれに関連する酵素の機構をまとめる。

(2022年8月)



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