重度神経発達疾患を有する兄弟における両アレル性GTF2IRD1の変異:ウィリアムズ症候群責任遺伝子を含む新規疾患の可能性



Biallelic GTF2IRD1 variants in brothers with profound neurodevelopmental disorder: A possible novel disorder involving a critical gene for Williams syndrome.

Cummings CT(1), Starr LJ(1).
Author information:
(1)Department of Pediatrics, Children's Hospital and Medical Center, University of Nebraska Medical Center, Omaha, Nebraska, USA.
Am J Med Genet A. 2022 Oct 29. doi: 10.1002/ajmg.a.63021. Online ahead of print.

GTF2IRD1は7番染色体上にあり転写因子をコードする遺伝子であり、ウィリアムズ症候群に関連する典型的な欠失の一部がヘテロ接合欠失していることで臨床的興味を多く集めている。しかし、常染色体劣性遺伝病に含まれる両アレル性GTF2IRD1単独の変異はこれまでに報告されていない。ここに、c.1231C?>?T (p.Arg411Trp) と c.2632C?>?G (p.Leu878Val)に異なる(in trans of)GTF2IRD1変異を有し、両親を同じくする兄弟の症例を報告する。重度の神経発達障害、顔貌異型症、先天性漏斗胸などからなる詳細な臨床表現型を記載する。重要なこととして、両親を同じくする8人の兄弟のうち、両変異を異なる遺伝子に保有していた本件の兄弟2人だけが記載した重度の表現型を有していた。これらの兄弟が両アレル性GTF2IRD1の変異に起因する新たな症候群の特徴を表しているという仮説を立てるとともに、これがウィリアムズ症候群の分子的病因論に重要な関連を有している可能性がある。

(2022年11月)



目次に戻る