ウィリアムス症候群の社会行動異常に関わる遺伝子の探索
2022 年度 科学研究費助成事業 研究成果報告書
研究種目:基盤研究(C)
審査区分 小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
研究代表者
木村 亮 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20636641)
研究期間 (年度) 2019-04-01 ? 2023-03-31
キーワード:ウィリアムス症候群 / DNAメチル化 / ネットワーク解析
研究成果の概要
ウィリアムス症候群は、約1万人に1人にみられる稀な病気で、7番染色体の片方の一部分がなくなり、陽気で高い社交性、心血管の異常や知的発達の遅れなど様々な症状がみられる。しかし症状の程度は一様ではなく、原因はわかっていなかった。そこで本研究では、DNAの塩基配列に加えられた修飾(エピゲノム)のうち、メチル化状態に着目し、ウィリアムス症候群患者と健常者の検体を使って網羅的に調べた。その結果、 DNAメチル化の程度が両群で大きく異なる遺伝子を多数見出すことができた。とくにウィリアムス症候群では、神経発生や発達に関わる遺伝子のメチル化の程度が健常群に比べて高く、その働きが抑えられていることが示唆された。
自由記述の分野
研究成果の学術的意義や社会的意義
ウィリアムス症候群は、7番染色体の片側にある複数の遺伝子の欠失により生じ、高い社交性含む特徴的な症状から、近年非常に注目を集めている。しかし、これまでに欠失領域内の遺伝子研究や質問紙を用いた臨床研究が多く行われてきたが、行動異常など症状に関わる遺伝子については十分に解明されていなかった。本研究により、DNAメチル化異常がウィリアムス症候群の病態に関わっていることが明らかになった。これは、ウィリアムス症候群にみられる多彩な症状の原因を説明する重要な手がかりを与える知見であり、今後さらなる病態の飛躍的な解明につながることが期待される。
(2024年12月)
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