ウィリアムズ症候群:認知的および身体的表現型に対する研究道具 としての染色体微小欠失の利用



Williams syndrome: use of chromosomal microdeletions as a tool to dissect cognitive and physical phenotypes.

Tassabehji M; Metcalfe K; Karmiloff-Smith A; Carette MJ; Grant J; Dennis N; Reardon W; Splitt M; Read AP; Donnai D
University Department of Medical Genetics and Regional Genetics Service, St. Mary's Hospital, Manchester, United Kingdom. tassabehji@man.ac.uk.
Am J Hum Genet (UNITED STATES) Jan 1999, 64 (1) p118-25, ISSN 0002-9297
Languages: ENGLISH Document type: JOURNAL ARTICLE

ウィリアムズ症候群(WS)においては、7番染色体の片方にあるおよそ1.5Mb(150万 塩基)の欠失が身体的・認知的・行動的異常の原因である。表現型に関する分子分析を行 うことで、人間の認知や行動に重要な役割を担っている遺伝子を特定できる可能性がある。 ウィリアムズ症候群での欠失が確認されている遺伝子には、ELN(エラスチンをコードする)、 LIMK1(発達中の脳で発現するタンパクチロシンキナーゼの一種をコードする)、STX1A(神 経組織のある要素をコードする)、FZD3等がある。ELNの欠失あるいはELNの突然変異を持 つ患者の研究によれば、エラスチンの半接合がウィリアムズ症候群の心臓病に影響を及ぼ していることが示された。LIMK1 と STX1Aは、ウィリアムズ症候群の認知的・行動的特徴 を説明する候補となっている。本報告では、ウィリアムズ症候群を起こす可能性がある欠 失領域内に微小欠失を持つ患者の遺伝子検査および表現型調査結果を報告する。調査の結 果からは、LIMK1(前回の報告とは違う)及び STX1A の半接合のどちらもウィリアムズ症 候群の表現型には寄与していないことが判明した。これらの患者は、確実に判断しにくい が、広く見られる表現型の研究にとって重要であることも示している。

(1999年4月)

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