視覚性空間認知障害に影響を与えるLIMキナーゼ1の半接合



LIM-kinase1 Hemizygosity Implicated in Impaired Visuospatial Constructive Cognition

J Frangiskakis, A Ewart, A Morris, C Mervis, J Bertrand, B Robinson, B Klein, G Ensing, L Everett, E Green, C Proschel, N Gutowski, M Noble, D Atkinson, S Odelberg, M Keating
Cell, Vol.86, 59-69, July 12, 1996

ヒトの認知機能発達にとって重要な遺伝子を特定するために、視覚性空間認知障害を含む 発達障害病であるウィリアムズ症候群を研究した。ウィリアムズ症候群にみられる症状の 一部、すなわち影響を受けたメンバーはある特定のウィリアムズ症候群の認知プロファイ ルと循環器系障害だけを有しており、その他のウィリアムズ症候群の特徴を持たない2家 系について紹介する。染色体7q11.23部分にある顕微鏡分解能以下の欠失と両家族の表現 型が同時分離された。最も小さい欠失(83.6kb)部分のDNA配列分析の結果、エラス チン(ELN)とLIMキナーゼ1(LIMK1)の2つの遺伝子が含まれていることが判明した。後者 はLIMドメインを持つ新しいタンパクキナーゼをコードしており、脳で高度に発現してい る。ELNの変異は循環器障害の原因ではあるが認知機能異常の原因ではないことから、これ らのデータはLIMK1の半接合が視覚性空間認知障害に関連している事を示唆している。

(1999年12月)

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