BAC/PACクローンコンティグを含むウィリアムズ症候群欠失領域7q11.23のフィジカルマップ



A Physical Map, Including a BAC/PAC Clone Contig, of the Williams-Beuren Syndrome-Deletion Region at 7q11.23.

Peoples R, Franke Y, Wang YK, Perez-Jurado L, Paperna T, Cisco M, Francke U
Department of Genetics, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA, USA.
Am J Hum Genet 2000 Jan;66(1):47-68

ウィリアムズ症候群は染色体バンド7q11.23における2cMの長さの領域にある遺伝子の片 方が欠失して不足する事に起因する発達病である。循環器系の狭窄がエラスチン遺伝子の 欠失によって発生することは判明しているが、それ以外のウィリアムズ症候群の特徴がど の遺伝子に起因するかは特定されていない。ウィリアムズ症候群欠失領域からは16個以 上の遺伝子が発見されているが、巨大な複製領域がこの欠失領域に隣接しているため、欠 失領域の完全なフィジカルマップを作ることは難しい。我々は、バクテリア人工染色体 (BAC)とP1導出人工染色体(PAC)コンティグを組み合わせ、高速ゲノム配列データ分析、 長年の電気パルス泳動法(pulsed-field gel electrophoresis)を使ったゲノムとクローン DNAの制限マッピングの結果得られたウィリアムズ症候群欠失領域と隣接領域のフィジカ ルマップを提示する。このマップは欠失領域の1.6Mbを含む3Mbにわたっている。欠失域 に隣接して存在する320kB以上ある2つの巨大な複製領域(duplicon)は、欠失の内部境界 から始まるユニークな配列を持つ。そこにはGTF21(テロメア側)からFKBP6(セントロメア 側)のような配列がある。3番目の複製領域はテロメア側の隣接領域の外側に逆向きに配置 されている。これらの複製領域は、共通欠失領域にある起源と思われる遺伝子坐よりも、 お互い大変よく似た配列を維持している。7q11.23領域を越えたところに起源を持つ配列要 素もこれらの複製領域に存在する。この複製領域はマウスには存在しないが、マウスの5 番染色体の保存された代用領域(the conserved syntenic region)にある単一コピー遺伝子 の順番は、人間のマップとは相対的に逆順になっている。このモデルは、複製領域同士が お互いに定位する、あるいは欠失領域にある起源要素と定位することを基本とするウィリ アムズ症候群の欠失生成のメカニズムを提供する。

(2000年1月)

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