ウィリアムズ症候群の欠失遺伝子であるヒトHPC-1/Syntaxin 1Aの発現分析とタンパク質の局在



Expression Analysis and Protein Localization of the Human HPC-1/Syntaxin 1A, a Gene Deleted in Williams Syndrome.

Botta A, Sangiuolo F, Calza L, Giardino L, Potenza S, Novelli G, Dallapiccola B
Dipartimento di Biopatologia e Diagnostica per Immagini, Universita "Tor Vergata", Italy
Genomics 1999 Dec 15;62(3):525-528

HPC-1/syntaxin 1A (STX1A)遺伝子は、染色体7q11.23上のウィリアムズ症候群で共通的に 欠失している領域にマップされ、前シナプス形質膜(presynaptic plasma membrane)を持つ シナプス小胞(synaptic vesicles)に含まれるタンパク質をコードしている。ウィリアムズ 症候群の表現型においてSTX1Aが果たしていると予想される役割を評価するために、胎児 や成人の器官においてRNAやタンパク質レベルで発現の研究を実施した。ヒトの胎児の切 断面において生体内RNAハイブリタイゼーションを行った結果、STX1Aは脊髄や神経節で高 度に発現していた。しかし、成人においては、この遺伝子は脳にだけかたよって発現して おり、ノーザンブロットやRT-PCR法による実験と同じ結果を示した。特に小脳と大脳皮質 で発現レベルが高いことが観測された。STX1Aタンパク質は小脳皮質の小領域層(molecular layer)に広く分布していた。特定の抗STX1A抗体(anti-STX1A antibody)を使った定性的・ 定量的分析の結果、成人の大脳両半球の皮質における前頭葉・側頭葉・後頭葉の頂点で有 意な差は見られなかった。本研究はヒトにおけるSTX1A発現に注目した最初の研究である。 本研究の結果から、この遺伝子は認知機能を含む脳領域で強く発現しており、ウィリアム ズ症候群の神経的症状に影響を与える役割を持っているという仮説を強く支持するもので ある。

(2000年2月)

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