減数分裂時の染色体対合に関連するタンパク質をコードする新しい 遺伝子STAG3とウィリアムズ症候群の欠失に隣接 STAG3関連遺伝子の位置



STAG3, a novel gene encoding a protein involved in meiotic chromosome pairing and location of STAG3-related genes flanking the Williams-Beuren syndrome deletion.

Pezzi N, Prieto I, Kremer L, Perez Jurado LA, Valero C, Del Mazo J, Martinez-A C, Barbero JL
Department of Immunology and Oncology, Centro Nacional de Biotecnologia, UAM Campus de Cantoblanco, Madrid E-28049.
Servicio de Genetica, Hospital Universitario La Paz, Madrid E-28046.
Departamento de Biologia Celular y Desarrollo, CIB/CSIC, Velaquez 144, Madrid E-28006, Spain.
FASEB J 2000 Mar;14(3):581-592

減数分裂前期におけるクロマチン組替えは、分裂前期における相同染色体の対合を安定させる タンパク質構造体であるシナプトネマル複合体(SC)の整合と分離が特徴である。シナプトネマル 複合体の新しい哺乳類ストロマリン(stromalin)メンバーであるストロマリン3(STAG3)をコード しているヒト及びマウスのcDNAの同定を行った。ストロマリンは、酵母からヒトにいたる 生体の何種類かで見られる高度に維持されたタンパク質グループの一種である。ストロマリンは これまでに発見されたタンパク質ファミリー全てに共通して見られる特定の構造(motif)である ストロマリン共通ドメイン(stromalin conservative domain:SCD)を持っていることを特徴とし ている。STAG3は妊娠中だけに高度に発現し、免疫定位(immunolocalization)実験の結果、STAG3 はシナプトネマル複合体と関連があることが判明した。酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)に ある相同な遺伝子(Scc3p)がコードするタンパク質は、分裂後期が開始するまで染色体の結合を 維持する凝集複合体のサブユニットとして発見される事から、本研究のデータは、STAG3が減数 分裂の肥厚期(pachytene phase)において凝集と同じような方法で染色体の対合とシナプトネマル 複合体構造の維持に関わっている事を示している。我々はヒトのSTAG3を7番染色体の7q22領域に マップした。同時にヒトSTAG3と関連する6つの遺伝子も調査し、この機能遺伝子の近傍の7q22に 2つ、7q11.22に1つ、7q11.23に3つをマップした。このうち7q11.23にある2つはウィリアムズ 症候群の欠失に共通的に関連するブレークポイントに隣接する。ウィリアムズ症候群の欠失が減数 分裂の不等交差によって引き起こされることから、我々はSTAG3の複写が生殖プロセスにおける この領域の染色体の交差に影響していることを示唆する。

(2000年3月)

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