大動脈弁上狭窄とウィリアムズ症候群を特徴とする重篤な循環器系疾病発症を合併する新しい核型 46,XX,t(6;7)(q27;q11;23)
De novo 46,XX,t(6;7)(q27;q11;23) associated with severe cardiovascular
manifestations characteristic of supravalvular aortic stenosis and Williams syndrome
von Dadelszen P, Chitayat D, Winsor EJ, Cohen H, MacDonald C, Taylor G,
Rose T,Hornberger LK
Department of Obstetrics and Gynecology, Women's College Hospital,
Toronto, Ontario, Canada.
Am J Med Genet 2000 Feb 14;90(4):270-5
大動脈弁上狭窄は孤発型、あるいはウィリアムズ症候群の一症状として見られる。ウィリ
アムズ症候群は7q11.23の半接合欠失を原因とし、神経発達や多臓器に症状が見られる隣
接遺伝子症候群である。本報告はウィリアムズ症候群責任領域を含む染色体転座を有する
患者の出生前診断と組織病理的発見に関するものである。妊娠30週の時点で胎児超音波
診断によって胎児水腫(hydrops fetalis)が最初に見つかり、心エコーによって大動脈と肺
動脈に狭窄があることが明らかになった。同児は出生直後に死亡し、剖検の結果大動脈・
大動脈枝・肺動脈のびまん性血管壁肥厚と内径狭窄が見られた。組織病理検査によって弾
性物質不足による中膜異形成と、コラーゲン・エラスチン・筋束の「車輪」上の配置が見
られた。核型は 46,XX,t(6;7)(q27;q11.23) であった。エラスチン−ウィリアムズ症候群
検査用Oncor社製FISHプローブによる蛍光が3つ観察されたことから、7番染色体のエラ
スチン−ウィリアムズ遺伝子(WSCR)の内部で切断が発生したことを示唆している。同患者
は、胎児診断とエラスチン−ウィリアムズ症候群遺伝子座を含む染色体転座の両面から特
に注目されている。
(2000年3月)
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