ウィリアムズ症候群で通的に欠失している領域の遺伝子間に存在する新しい遺伝子(WBSCR15/Wbscr15)はヒトとマウスで異なる相同分子種である。



Divergent human and mouse orthologs of a novel gene (WBSCR15/Wbscr15) reside within the genomic interval commonly deleted in Williams syndrome.

Doyle JL, DeSilva U, Miller W, Green ED
Genome Technology Branch, National Human Genome Research Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD (USA).
Cytogenet Cell Genet 2000;90(3-4):285-290

ウィリアムズ症候群は隣接遺伝子症候群であり、複合的で興味深い臨床的特徴を有してい る。ウィリアムズ症候群で共通的に欠失している染色体7q11.23にある遺伝子領域の詳細 な分子生物学的研究によって数多くの遺伝子が発見され、この症候群の病因へそれぞれの 遺伝子がどのように寄与しているか精力的に研究されている。我々はヒトとマウスのウィ リアムズ症候群領域の比較マッピングと配列同定に焦点を当てている。前回の報告で、ヒ トとマウスの遺伝子領域の長期的編成過程における重要な相違、特にヒトには存在するDNA の複製ブロックがマウスでは明らかに欠けていることを発見した。入手できた遺伝子配列 データを元に、遺伝子探索プログラムと相補DNAの切りだしを用いて、ウィリアムズ症候 群で通的に欠失している領域の遺伝子間に存在する新しいヒトとマウスの相同分子種であ る遺伝子(それぞれWBSCR15とWbscr15)を発見した。ヒトとマウスで密接に関連している他 の隣接遺伝子とは異なり、WBSCR15とWbscr15は、臓器における発現パターンはもちろん、 相補DNAやそれに相当するタンパク質配列に関してもかなり相違している。統計的にみて、 WBSCR15がコードするアミノ酸配列もWbscr15のそれも、どの代表的なタンパク質とも顕著 な類似点が存在しない。この発見は、ヒトとマウスのウィリアムズ症候群領域における興 味深い進化上の新たな相違点を明らかにし、ウィリアムズ症候群の病因に寄与する可能性 のある新しい候補遺伝子を提供する。

(2001年1月)



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