先天性・遺伝性心疾患における遺伝子型と表現型(22q11.2欠失症候群、Williams症候群、Brugada症候群)



日本循環器学会のホームページに掲載されていました。

(2002年4月)

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日本循環器学会 第66回日本循環器学会学術集会

松岡 瑠美子, 中澤 誠, 秋元 馨, 萩原 誠久, 古谷 道子, 古谷 喜幸, 今村 伸一郎, 高尾 篤良, 笠貫 宏

東京女子医科大学 循環器小児科

2002年4月24日(水)、25(木)、26日(金)

我々は、多彩な表現型を呈する先天性・遺伝性心血管疾患について、成因の分子医学的解明、ならびに、疾患遺伝子に基づいて病態を包括的に検討している。今回は、22q11.2欠失症候群、Williams症候群と最近話題になっているBrugada症候群に関して述べる。22q11.2欠失症候群、Williams症候群:22q11.2欠失症候群、Williams症候群の患者は欠失領域をFISH法にて検討し、約1週間入院する。循環器学的検査(心臓、大血管、中、小血管の形態および血管壁の肥厚、交感神経機能、末梢血管拡張機能)、脳神経学的検査(脳血流、脳、頭頚部血管の形態)、神経心理学的検査(漢字構成、知能検査、前頭葉機能、潜在学習、視空間認知、図形認知)に加え欠失領域内に存在する遺伝子より予想される血小板機能を含む血液検査、内分泌代謝の検索と聴力、音楽感性に関する検査をうけた。その結果は循環器小児科、小児科、脳神経内科、腎臓小児科、心理・精神科、整形外科、眼科、耳鼻科、歯科と音楽の先生、検査部門、医療ソーシャルワーカーにより総合的に検討された。Brugada症候群:Brugada症候群は、心電図上、右脚ブロック様波形と右側胸部誘導(V1-3)のST上昇を認める特発性心室細動を特徴とする。またNaチャネルブロッカーの投与により、右側胸部誘導にて、STの上昇が知られている。Brugada症候群患者においての疾患遺伝子の一つであるNaチャネルのαサブユニット遺伝子(SCN5A)の検索を行ったところ、3つの新しい変異を5家系、5名に認めた。ICD植え込み術は、5名中4名において必要であった。新たに見つかった変異チャネルの機能解析のため、ヒト由来細胞に変異チャネルの発現を行い、その機能の解析を試みた。疾患遺伝子に基づいて病態を包括的に検討することにより、疾患の発症前診断、発症予防だけでなく、病態悪化の軽減、さらには表現型に関与する新たな疾患遺伝子の解明・解析に役立ち得る。



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