ウィリアムズ症候群で欠失している2種類の新奇遺伝子の特徴



Characterization of two novel genes, WBSCR20 and WBSCR22, deleted in Williams-Beuren syndrome

Doll A, Grzeschik KH
Zentrum fur Humangenetik der Universitaet Marburg, Marburg (Germany)
Cytogenet Cell Genet 2001;95(1-2):20-7

ウィリアムズ症候群は7q11.23領域でおよそ15Mbの連続した遺伝子群の欠失を原因として発生し、大動脈弁上狭窄含む多臓器に発生する障害と特徴的な認知表現型を呈する複合発達障害病である。遺伝子や偽遺伝子を含む大規模な繰返配列がブレークポイントに隣接しており、変異機構は減数分裂時の不等交差だと考えられている。半接合が大動脈弁上狭窄に関係していることが判明しているエラスチン(elastin)を除き、欠失領域に存在し表現型に寄与している18個の遺伝子の機能は未解明である。本論文では、ウィリアムズ症候群共通欠失領域に存在する2種類の新奇な遺伝子、WBSCR20とWBSCR22の同定と特徴について報告する。WBSCR22は主に心臓・骨格筋・腎臓で発現するメチル基転移酵素タンパク質(methyltransferase protein)をコードしていると考えられる。WBSCR20は骨格筋でよく発現している新奇タンパク質をコードしており、進化の過程で保存されてきたタンパク質の1種類で、120-KDa増殖関連核小体抗原(120-kDa proliferation-associated nucleolar antigen)であるp120(NOL1)によく似ている。高度に類似した遺伝子であると考えられるWBSCR20Bがウィリアムズ症候群欠失領域のテロメア側に隣接している。これら2種類の新奇遺伝子のどちらかの半接合が、ウィリアムズ症候群の病因のなかで成長遅滞、筋疾患あるいは早老効果などの原因になっている可能性がある。

(2002年5月)



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