Vitamin D receptor(VDR)の新規転写修飾因子複合体としてのWSTF complexの機能解析



日本腎臓学会 第45回日本腎臓学会学術総会(O-434)
2002年5月23日〜25日
北川浩史1,柳沢純3,藤木亮次1,小川智子1,時田章史4,伊藤敬5,松本俊夫2,加藤茂明1
(1東大分子細胞生物学研究所,2徳島大学第一内科,3科技団・CREST,4順天堂大学 小児科,5埼玉医大生化学)

Williams syndromeは生下時に高カルシウム血症を生じることが多い常染色体優性遺伝の症候群である。この症候群では染色体7番に約1Mbpの欠損を認め、近年その欠損遺伝子の1つとしてWSTF(Williams syndrome transcription factor)が同定された。我々はGSTに融合したVDRのligand binding domainをbaitとしてHeLa細胞核抽出液より結合している因子群を精製し、TOF-MSにてその同定を試み、その中にWSTFが含まれることを明らかにした。さらにWSTFのstable transformantを作成し、WSTF complexを単離精製し、その構成因子の同定を試みた。その結果WSTF complexはクロマチン再構成活性を持つ新規の複合体であり、既知のATP依存性クロマチン再構成因子複合体と構成因子をいくつか共有することが判明した。in vivoではWSTFはリガンド非依存的にVDRに結合し、ビタミンD標的遺伝子プロモーター上で機能することも確認した。さらにWilliams syndromeの患者より皮膚fibroblastを採取し,その中でVDRの転写異常があることを確認し、その異常がWSTF complexの機能低下によることを明らかにした。

(2003年1月)

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上記と同じ内容の論文が投稿されていました。

(2004年7月)

Vitamin D receptor (VDR) promoter targeting through a novel chromatin remodeling complex.

Kato S, Fujiki R, Kitagawa H.
Institute of Molecular and Cellular Biosciences, University of Tokyo, 1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0032, Japan.
J Steroid Biochem Mol Biol. 2004 May;89-90:173-8.



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