星状神経膠腫におけるsyntaxin 1C(HPC-1/syntaxin 1Aのスプライシング多型)の発現はホルボールエステルの刺激で転写促進が行われる:PKC信号伝達経路の役割



Expression of syntaxin 1C, an alternative splice variant of HPC-1/syntaxin 1A, is enhanced by phorbol-ester stimulation in astroglioma: participation of the PKC signaling pathway(1).

中山 高宏, 御子柴 克彦, 山森 俊治, 赤川 公朗
杏林大学医学部生理学教室, 181-8611, Tokyo,Japan
FEBS Lett 2003 Feb 11;536(1-3):209-14

syntaxin 1CはHPC-1/syntaxin 1Aのスプライシング多型であり、後者は神経伝達物質の放出に寄与し、ウィリアムズ症候群の責任遺伝子領域に存在する。syntaxin 1CはT98G及びU87MG系統のヒト星状神経膠腫細胞抽出分画液中で発現している。定量免疫ブロット法と間接的蛍光抗体分析法によりsyntaxin 1Cの発現は、ホルボール12-ミリスチン酸エステル 13-酢酸塩(PMA)によって上方制御されているが、フォルスコリンでは上方制御されないことが判明した。蛋白質キナーゼC(PKC)阻害剤がこの発現を抑制する。この発見はsyntaxin 1Cの発現がPKC信号伝達経路を経由して制御されていることを示唆している。本論文は信号伝達系がsyntaxinタンパク質の発現に直接影響を与えていることに関する最初の報告である。

(2003年2月)