FKBP6遺伝子のハプロ不全を伴い父から息子へ常染色体優勢遺伝したウィリアムズ症候群



Autosomal dominant inheritance of Williams-Beuren syndrome in a father and son with haploinsufficiency for FKBP6.

Metcalfe K, Simeonov E, Beckett W, Donnai D, Tassabehji M.
aAcademic Unit of Medical Genetics and Regional Genetics Service, The University of Manchester, St Mary's Hospital, Manchester, U.K bHigher Medical School, Department of Paediatrics, Section of Clinical Genetics, 11 D.Nestorov str, Sofia 1606, Bulgaria.
Clin Dysmorphol. 2005 Apr;14(2):61-65. 

ウィリアムズ症候群は微小欠失神経発達性微小欠失障害であり、非常に多くの繰り返しを含む染色体領域が安定性に欠けていて減数分裂の際に不等交差を起こしやすいことが原因で、通常は孤発的に発生する。欠失の結果として7q11.23の位置で失われた染色体は約1.5MbのDNAが含まれている。優勢遺伝の症例を記載した文献は複数存在しているが、分子遺伝学的分析を行った報告はほとんどなく、詳細な遺伝子型分析を実施した例は皆無である。我々は(エラスチン遺伝子プローブを使用した)FISH法を用いてウィリアムズ症候群と確定診断され、責任領域に存在するマイクロサテライトマーカーを用いた異型接合性マッピングを実施したブルガリア人の父親と息子について報告する。両患者はウィリアムズ症候群の典型的な異型接合を有しており、予期された優性伝達が確認されたことで、家族性症例のひとつに加えられた。欠失には、最近マウスにおいて減数分裂の際に相同染色体が対合する際やオスの受精能に重要な役割を果たすと判明したFKBP6遺伝子を含んでいる。Fkbp6 -/- という同型接合を有するオスのマウスは繁殖能力がなく、我々の事例からはFKBP6の異型接合はウィリアムズ症候群の男性患者の不妊にはつながらないことを示している。一方で、この遺伝子を有している場合の男性不妊については、ヒト常染色体劣勢状態と同等のマウスのモデルと同じである可能性がある。 (2005年3月)

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