先天性心血管疾患と遺伝子異常:Williams症候群
松岡瑠美子
周産期医学 Vol35 No.8 2005-8、1141-1147
染色体7q11.23領域の半接合体部分欠失を伴い、幼児期の特徴的な妖精様顔貌、大動脈弁上狭窄と抹消肺動脈狭窄などの心血管奇形、独特の性格、乳児期の高カルシウム血症など多様な表現型を呈する染色体微細欠失症候群である。
本症候群の発生頻度は出生20,000〜30,000人に1人で大部分は単発例であるが、家族性もみられる。大動脈弁上狭窄(高頻度)、抹消肺動脈狭窄(中頻度)を認めるが、稀に心疾患を伴わない例もある。
染色体7q11.23の欠失領域には、エラスチン(ELN)を含む約20個の遺伝子が存在する。家族性大動脈弁上狭窄家系において、ELN遺伝子の変異が検出されており、大動脈弁上狭窄、抹消肺動脈狭窄の原因遺伝子はELN遺伝子が確認されている。
FISH法による欠失範囲の検討の結果、若干名に典型例より染色体末端側の欠失が小さい非典型例が認められており、非典型例の表現型は典型例に比べ、視空間認知障害の程度が軽い傾向が認められる。
略(図2 Williams症候群における染色体欠失領域(7q11.23)と欠失内領域の遺伝子群)
(2005年9月)
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