発達遅滞あるいは先天性奇形患者にみられる巨大複製領域に隣接する(あるいは隣接しない)領域のコピー回数の変化:相互あるいは部分的なウィリアムズ症候群症候群領域の巨大複製領域の検出



Copy number variation in regions flanked (or unflanked) by duplicons among patients with developmental delay and/or congenital malformations; detection of reciprocal and partial Williams-Beuren duplications.

Kriek M, White SJ, Szuhai K, Knijnenburg J, van Ommen GJ, den Dunnen JT, Breuning MH.
Center for Human and Clinical Genetics, Leiden University Medical Center, Leiden, The Netherlands.
Eur J Hum Genet. 2005 Dec 14; [Epub ahead of print]


巨大複製領域(duplicon)は高度な配列の相似性を有する10Kb以上の長さをもつDNA配列であり、欠失や相互重複につながる不等相同組換の原因になることが知られている。本研究では、2001年に最初の手順として巨大複製領域に隣接していることが判明している169領域から抽出した63種類のエクソン特異的な単一コピー配列を含むMAPH法(Multiplex Amplifiable Probe Hybridisation)を設計した。続いて、発達遅滞や先天性奇形患者における染色体再配列の頻度を計測した。さらに、同じ方法を用いて発達遅滞や先天性奇形患者が有する新たな領域の特定を試みた。105名の患者から6ケース(5.8%)の不均衡が検出され検証を行った。このうちの3ケースは微小欠失領域に存在し、2ケースは多形複製であり、他の1ケースの変異の効果は今のところ判明していない。同じ被験者群に対して、近くに巨大複製領域が存在しないことが判っている領域の再配列を58種類の機能遺伝子を抽出した一連のプローブを用いて検査した。後者の検査においては2ケースの変異が検出された。予想されたとおり、DNA単位あたりの変異の頻度は、近くに巨大複製領域が存在しない領域(検査されたゲノムの分画:24.5-90.2%)に比べて巨大複製領域に隣接する領域(検査されたゲノムの分画:5.2%)のほうが高かった。我々は、これまでウィリアムズ症候群責任領域では報告されていなかった相互複製、この領域に存在する巨大複製領域部分変異、染色体バンド16p13.11の巨大複製領域を含む新たな3種類の再配列を検出した。本研究の結果は巨大複製領域に隣接する領域がコピー回数の変化に富んでいるという仮説を支持する。

(2006年1月)



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