ウイリアムス症候群:6人の患者における外科的処置後の長期的予後(イタリアの事例)

大動脈弁上狭窄の手術を必要とする子供は多くありません。万が一手術を受ける事になっ ても、心配しなくてもいいという内容です。
(1997年8月)


Williams-Beuren syndrome. Long-term results of surgical treatments in six patients.

Actis Dato GM; La Torre M; Caimmi P; Actis Dato A Jr; Centofanti P; Ottino GM; Di Summa M
Italian Institution of Cardiac Surgery, Turin, Italy.
J Cardiovasc Surg (Torino) (ITALY) Apr 1997, 38 (2) p125-9, ISSN 0021-9509
Languages: ENGLISH Document type: JOURNAL ARTICLE



ウイリアムス症候群の大動脈弁上狭窄に対する外科手術後の長期間にわたる状況を調べる ために、1965年から1971年にかけて我々の病院で手術を受けた6人の患者の記録を調査 した。そのうち、5人の狭窄は局所的であり、1人は広範囲にわたっていた。患者の性別 は、女性が4人、男性が2人であり、手術を受けた年齢は9才から16才まで(平均13 才、+/- 2.27才)であった。全員に、エルフィン様顔貌と精神発達遅延とIQの低下が 見られた。手術前の omeral(?) 血圧は右手と左手で異なっていた。(89 +/- 7/67 +/- 8 対 105 +/- 8/77 +/- 4)。 胸部X線で患者全員に心臓陰影の拡張が見られた。心臓カテーテル検 査の結果、大動脈弁上狭窄が全員に認められ、一人には下大動脈の狭窄も発見された。手 術中、全員に冠動脈枝の拡張が認められ、2人は右冠動脈に特定の病変も伴っていた。上 行大動脈の平均直径は 5.67 +/- 1.97 mm だが、もっとも細かった(3mm)例は、狭窄が広範 囲に渡っていたグループであった。狭窄が局所的であったグループは、大動脈基部に対す るダクロンの涙型パッチを使った拡張手術(4人)か、軸方向に切開した後の単純な横断 縫合(1人)が実施された。狭窄が広範囲に渡っているケースはパンタロン型のパッチが 必要であった。手術中に死亡した患者はおらず、全員2週間後に退院した。25年から3 0年(平均27.7年、+/- 2.19)にわたる臨床的術後ケアが全員(10%)に行われた。 術後に死亡した人もおらず、現時点で患者の平均年齢は40才 +/- 3才である。全員が機 能分類の I か II に属している。手術後の圧較差・生存率・超音波心臓診断やカラードッ プラー心臓計による大動脈閉鎖不全に関する検査において、涙型パッチとパンタロン型パ ッチの手術による有意差は見られない。6人の中で2人は両親または親類と暮しているが、 残りの4人は障害者向けの農業カレッジに入って、働いたり、ある種の管理作業を行なっ ている。ウイリアムス症候群における大動脈弁上狭窄を拡張するための手術は不可欠であ り、2種類のパッチ技術を用いた手術は圧較差と大動脈弁の機能に長期的な効果を発揮し ている。さらに、手術を受けた患者は、通常のQOLと平均的な寿命が期待できる。

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