エラスチンのハプロ不全が大動脈の代替加齢現象を引き起こす



Elastin Haploinsufficiency Induces Alternative Aging Processes in the Aorta.

Pezet M, Jacob MP, Escoubet B, Gheduzzi D, Tillet E, Perret P, Huber P, Quaglino D, Vranckx R, Li DY, Starcher B, Boyle WA, Mecham RP, Faury G.
Universite Joseph Fourier, UFR de Biologie, Grenoble, France., CEA?Commissariat al'Energie Atomique, Grenoble, France., INSERM?Institut national de la sante et de la recherche medicale, U882, Grenoble, France.
Rejuvenation Res. 2008 Jan 3 [Epub ahead of print]

弾性繊維の主要な構成要素であるエラスチンは発生初期の時期だけに合成され、血管に弾性機能を提供する。エラスチンは加齢と共に進行的に分解され、動脈の拡大、硬化、機能不全を引き起こす。さらに、エラスチンは血管の平滑筋細胞が増殖したり遊走する際の重要な制御因子でもあるため、その遺伝子(Eln)の異型接合突然変異は閉塞性血管疾患の一種である大動脈弁上狭窄症(孤発性、あるいはウィリアムズ症候群に合併する)を引き起こす。我々は、初期のエラスチン合成が加齢プロセスに影響を与えるかどうか調査するために、6ヶ月から24ヶ月齢でEln+/-とEln+/+を持つマウスの上行大動脈の構造と機能を比較調査した。Eln+/-を持つ動物は、高血圧及びより小径で固く、付加的で薄い弾性層を有する動脈がある。それらにもかかわらず、これらの動物の寿命は影響を受けない。青年期のEln+/-マウスでは、野生型のマウスにみられる血管の加齢状況と似た特徴がある。心肥大、弾性繊維の断片化の進行による血管壁の弾性機能喪失、大動脈壁(特に内膜)への細胞外基質蓄積などである。Eln+/-を持つ動物において、内皮における血管弛緩性機能の年齢依存的変化も観察した。それらとは対照的に、Eln+/-マウスは、Eln+/+マウスにはみられる典型的な加齢現象、つまり動脈壁の肥厚 アルファ1型アドレナリン受容体介在型血管狭窄変異(alteration of alpha(1)-adrenoceptor-mediated vasoconstriction)などがおこらない。我々の研究結果から初期のエラスチンの発現と組織化が、血管細胞の生理機能、及び血管の機能と構造の両面を通じて血管の加齢現象を変更していることを示唆している。

(2008年1月)



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