小児期・思春期肥満が早期の動脈硬化性変化と左室肥大に及ぼす影響の検討



研究実績報告
報告年度 1999
研究期間 1999-2000
研究課題番号 11670796
研究課題名 小児期・思春期肥満が早期の動脈硬化性変化と左室肥大に及ぼす影響の検討
研究代表者 近藤 千里  (コンドウ チサト) 東京女子医科大学・医学部・助手
研究代表者番号 90192070
研究機関 東京女子医科大学 研究機関番号:32653
研究種目 基盤研究(C) 研究種目コード:320
審査区分 一般 区分コード:03
研究分野[2] 小児科学 研究分野コード:636
キーワード 動脈硬化/総頚動脈内腹中膜厚/内皮依存性血管拡張/内皮非依存血管拡張

研究概要

平成11年度は、本研究の基礎的検討として小児期に早期に動脈硬化をきたすモデル疾患としてWilliams症候群(以下WSと略)患者について検討した。以下の値は平均±標準偏差で示す。

[結果]WS9名(年齢11.4±6.7歳)と、年齢のマッチした動脈硬化リスク因子を持たない対照14名(以下Cと略)(年齢16.1±8.9歳)について以下の結果を得た。

  1. 総頚動脈内膜中膜厚(IMT):C群ではIMTは0.526±0.076mmであったのに対し、WS群では0.735±0.141mmとWS群でC群に比べてIMTの肥厚が認められ(P<0.0001)、WSでは動脈硬化が小児期においても出現していることが認められた。
  2. 上腕動脈の血流増加ならびにニトログリセリン投与による血管拡張反応性:血流の一過性途絶後に認めれられる血流増加反応により上腕動脈はC群ではコントロール値に比べて13.1±5.3%増加にしたのに対して、WS群では7.4±5.4%と拡張性の低下が認められた(P=0.02)。これに対してニトログリセリン投与によってC群は22.7±7.5%拡張したのに対して、WS群では20.0±9.3%と有意差なく拡張した。すなわちWS群では内皮依存性の血管拡張反応性は小児期においても低下するのに対して、内皮非依存性の拡張性は比較的温存されることが明らかになった。
 以上により本研究で用いる方法は動脈硬化をきたすモデル疾患において正しく病態を表現しうることが示唆された。 (2008年7月)



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