Williams症候群における脳血管イベント危険因子と自然食品、アスコルビン酸及びビタミンEのリスク予防効果に関する検討
竹内大二、近藤千里、原田百合子、古谷道子、古谷喜幸、中西敏雄、松岡瑠美子
循環器小児科、放射線科、IREIIMS、東京女子医科大学
第2回 IREIIMS公開シンポジウム 抄録集 109ページ(2006年12月)
背景:
Williams症候群(WS)では突然死の頻度が高く脳心血管合併症の関与が示唆されている。
目的:
- 高脂血症、耐糖能異常、高血圧、レニン−アルドステロン系活性、血管内皮機能といった脳心血管イベントの危険因子の存在
- 典型的遺伝型例と非典型例間の相違
- 自然食品を中心とした食事療法と、抗酸化薬としてのアスコルビン酸やビタミンEの効果について検討。
方法:
対象は27名のWS。各WSに関し、
- 酸化LDLを含めた血清脂質プロファイル
- 耐糖能(OGTT、HOMAR)
- レニン−アルドステロン系(RAA系)
- 携帯型24時間血圧計(ABPM)
- 頚動脈エコーで内中膜厚(IMT)
- 前腕動脈のFlow Mediated Dilatation(FDM)を測定。
結果:
血清脂質では30%が高TC血を示し酸化LDLは89%で高値を示した。RAA系ではレニンとアルドスロンが46%で上昇。耐糖能異常は77%に認め、ABPMでは、平均収縮期血圧が26%で90%タイルを超えていた。IMTは68%で0.6mm以上の肥厚を認めた。FMDは48%で9%以下に低下。7例で複数回のフォローが可能であり、3例で食事指導及びVitCと、VitE内服介入を1〜6年間施行した。治療群では平均33%のIMT減少、34%のFMD増加を得たが、無治療例では7%のIMT増加と8%のFMD減少を認めた。
結論:
WSでは脳心血管イベント危険因子を多く認める。自然食事及び、VitCと、VitE内服による介入は血管症の進行予防に有効である可能性がある。
(2008年10月)
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