Williams症候群の先天性大動脈弁上狭窄症に対する1手術例
吉田 誉、浦田 将久、来島 敦史、加納 正志、北市 隆、増田 裕
(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部循環機能制御外科)
鈴木 光二郎、早渕 康信、森 一博(同 小児医学)
北川 哲也(同 循環機能制御外科)
第89回日本循環器学会四国地方会(2006年12月)
Circulation Journal Vol.71, Supple.U 2007年 880ページ
症例は3歳男児。新生児期に大動脈弁上狭窄症と診断、経過観察されていた。大動脈造影で狭窄は砂時計様で最狭部径3.2mm、心カテで72mmHgの圧格差を認めた。心エコー上著明な左室の求心性肥厚が存在しLVDd/Ds=22.5/7.8mm、IVS/PWt=10.1/13.5mmであった。また最大圧格差70mmHgの左右PA肺内分岐での多発性狭窄も合併していた。手術はMyers法(Three sinus reconstruction)を施行。肺動脈狭窄は自然軽快の可能性を考え放置した。術後早期から左室の求心性肥厚は改善、術後3ヶ月目の心エコーでLVDd/Ds=32.6/20.3mm、IVS/PWt=5.8/6.3mm、心カテで大動脈再建部位の圧格差や大動脈弁閉鎖不全も認めず、肺動脈狭窄は最大44mmHgと改善傾向にあった。本術式の特徴は人工物を補填しないことと3つのvalsalvaの均等な拡大であり文献的考察を加えて報告する。
(2008年10月)
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