VSD術後に心筋梗塞を起こしたWilliams症候群の一例



飯沼 宏和、下中 浩之、榊原 いづみ、宮本 真紀
岐阜県総合医療センター麻酔科
日本臨床麻酔学会誌 Vol.28, No.6 2008年 S231ページ

症例は5歳男児。体重16.5Kg。42w0d自然経膣分娩にて出生。Apgar9/10、Day2心雑音聴取、Day3哺乳時チアノーゼを認める。Williams症候群、VSDと診断。以後経過観察。6ヶ月そけいヘルニア手術。4歳でRCCP/ARtri指摘、今回VSD手術となった。Qp/Qs1.0、SVAS(-)、Ca10.6mg/dl。麻酔はフェンタニル(総量20ml)に適宜セボフルレンを併用した。人工心肺からの離脱時、洞調律への復帰に少し時間がかかったが、それ以外特に異常を認めず手術を終了してICUに入室。術直後の心エコーではシャントの残存はなく心機能も良好であった。術後3時間後に抜管。ミタゾラムとデクスメデトミジンにて鎮静を開始したところ、血圧低下し、徐脈となったため、直ちに気管挿管・心臓マッサージ・カテコラミンを増量した。心エコーでRCA領域の壁運動が高度に低下していた。その後、血圧の回復とともに心機能は回復したが、心筋シンチでRCA領域に集積の低下が見られた。そのためCAGを施行したが、冠動脈に異常はなかった。Williams症候群の周術期の管理について、文献を含めて考察する。

(注)VSD:心室中隔欠損

(2009年2月)



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