大動脈弁上狭窄症、肺動脈弁上狭窄に冠動脈瘤、上行大動脈瘤、肺動脈瘤を合併した1例
中村 陽一、高橋 昇、藤枝 裕之、今岡 丈士、小松 須美生、佐藤 博彦、阿部充伯、大谷 享史、佐藤 晴瑞、富野 哲夫
松山市民病院 循環器科
愛媛県立中央病院 心臓血管外科
「血栓と循環」Vol 11 No.4 2003年、387ページ
糖尿病にて外来通院中、縦隔拡大を指摘された。CT上では上行大動脈瘤(68mm)、肺動脈拡大(50mm)、冠動脈瘤(23mm)、右冠尖瘤を認めた。心エコー図では大動脈弁上膜様突起物による左冠尖の開放制限(左室−大動脈間圧較差;40mmHg)がみられた。末梢肺動脈狭窄症はみられないものの肺動脈弁上の異常隔壁による肺動脈弁上狭窄(圧較差10mmHg)が合併していた。上行大動脈置換、冠動脈バイパス術、肺動脈形成術がなされた。大動脈壁は弾性繊維の変性、断裂とともに著明な粘液変性がみられた。
考察
大動脈弁上狭窄、末梢肺動脈狭窄を合併する疾患にWilliams症候群がある。Williams症候群は妖精顔貌、大動脈弁上狭窄、末梢肺動脈狭窄、精神発達遅滞、歯列異常が特徴で染色体(7q11.23)により生じ、弾性繊維の形成異常を特徴とする。本例は染色体異常は認めなかったがWilliams症候群類似の病態をきたした興味深い1例と考えられた。
(2009年5月)
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