僧帽弁閉鎖不全を合併したWilliams症候群に大動脈弁上狭窄との合併手術を施行した 1 例



小野 隆志1),森島 重弘1),中澤 誠2),本多 正知3),工藤 恵道4)
財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院小児循環器外科1),小児・生涯心臓疾患研究所2),心臓・循環器センター3),小児科4)
日本小児循環器学会雑誌 第25巻 第5号(691-694) 2009年

大動脈弁上狭窄はWilliams症候群において最もよく認められる心血管病変であるが,僧帽弁閉鎖不全の合併はまれであり,さらにこの 2 病変の同時手術の報告は極めてまれである。今回われわれは,重度の僧帽弁閉鎖不全を合併したWilliams症候群の,大動脈弁上狭窄との合併手術を経験したので報告する。症例は,特徴的な顔貌と精神発達遅滞および心エコー上の大動脈弁上狭窄所見からWilliams症候群と診断されていた 8 歳女児で心雑音の増強を認め当院に紹介された。心臓カテーテル検査で30mmHgの左室?大動脈引き抜き圧較差に加えIII度の僧帽弁閉鎖不全を認めたため手術適応となった。弁輪縫縮と後交連閉鎖による僧帽弁修復後に上行大動脈から無冠洞に広げた切開をパッチ拡大した。当初はDoty法を予定していたが,右冠動脈口が左冠尖?右冠尖交連部に接近しているため,ここに切開を加えることはできなかった。術後経過は良好で,僧帽弁閉鎖不全および大動脈弁上狭窄は軽減し退院した。

(2009年10月)



目次に戻る