ウィリアムス症候群(大動脈弁上狭窄症)の術後11年後に心室細動を合併した1例



都立広尾病院循環器科:高野 誠、水澤 有香、辰本 明子、深水 誠二、北條 林太郎、小田切 史徳、仲井 盛、弓場 隆生、小宮山 浩大、田辺 康宏、大塚 信一郎、手島 保、櫻田 春水
横浜南共済病院循環内科:西崎 光弘
東京医科歯科大学:平岡 昌和
Journal of arrhythmia 第25巻 suppl. 483ページ 2009年4月

症例は34歳男性。出生時よりウィリアムズ症候群に伴う大動脈弁上狭窄症を指摘され、21歳時に上行大動脈パッチ拡大術を施行された。23歳時に頻拍発作を伴うmanifest WPW症候群に対して左側副伝導路をアブレーション治療され、以後症状なく薬剤内服なく経過していた。2009年仕事中に卒倒し、心肺停止となった。心肺蘇生および心室細動に対する体外式除細動器により除細動され、心拍再開し当院へ緊急搬送となった。搬送後電解質異常認めず、心臓超音波において収縮能は正常であった。低体温療法施行し、後遺症なく回復した。ピルジカイニド負荷試験、エピネフリン負荷試験に異常は認めなかった。また加算平均心電図において心室遅延電位は陰性であり、心臓MRIにおいて異常所見は認められなかった。心臓カテーテル検査では冠動脈に優位狭窄を認めず、アセチルコリン負荷試験では冠攣縮は誘発されなかった。左室造影、大動脈造影において異常を認めなかった。そのため心室細動の原因精査のため電気生理学的検査を施行した。電気生理学的検査において洞結節能に異常はなく、房室伝導能は正常範囲内であったが、洞調律中に右室流出路に遅延電位を認めた。頻拍誘発のために心室プログラム刺激を施行した。コントロールの右室流出路からの期外刺激2連によって再現性をもて心室細動が誘発された。後日心室細動の2次予防のため、植込み型除細動器植込み術を施行した。致死的不整脈の報告例がまれな先天性疾患に伴った心室細動蘇生例を経験したので若干の考察を加えて報告する。

(2009年10月)



目次に戻る