ウィリアムズ症候群の拡散大動脈弁上狭窄の再手術:
胸骨正中切開による拡張パッチ大動脈形成手術と上行大動脈と下行大動脈の間の追加バイパス



Reoperation for diffuse supravalvular aortic stenosis with Williams syndrome

--extended patch aortoplasty and extra-anatomic bypass from the ascending aorta to the descending aorta in a median sternotomy.

熊田 佳孝, 安田 博之, Sasaki E, Murakawa S, 森 義雄, 廣瀬 一
岐阜大学医学部外科学第一
日本胸部外科学会雑誌 1998 Oct;46(10):1061-4


ウィリアムズ症候群による拡散タイプの大動脈弁上狭窄(SVAS)の例を報告する。重症の拡 散タイプSVASである本例では、子供の時にダイアモンドパッチによる大動脈形成手術を施 した。しかし、彼は引き続きSVASの症状が残った。9才の時に心筋に傷があることが心筋 シンチグラフ(myocardial scintigraphy)で判明した。手術に先立って行われた心臓カテ ーテルと血管造影の結果、上行大動脈と大動脈弓の形成不全と左鎖骨下動脈の外側で 89mmHgの圧較差が認められた。胸骨正中切開だけで、バルサルバ洞から大動脈弓遠部まで の間の拡張パッチによる大動脈形成手術と、10mmの管状移植片を使って上行大動脈と下行 大動脈の間に通常は存在しない追加バイパスが作成された。この方法は、左心室の過負荷 を解消できる方法であるとともに、胸骨正中切開だけで実施できる。

(1999年1月)



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