肺動脈憩室症:ウィリアムズ症候群における血管造影マーカー



Pulmonary Artery Diverticulum: An Angiographic Marker for Williams Syndrome.

Ahmad Z, Vettukattil J.
Congenital Cardiothracic Centre, Southampton University Hospital NHS Trust, Mail Point 46, Tremona Road, Southampton, SO16 6YD, UK, drzaheer@yahoo.com.
Pediatr Cardiol. 2010 Feb 10.

ウィリアムズ症候群患者における肺動脈憩室症の存在を、肺動脈狭窄を引き起こす他の疾患と比較した。1990年から2008年の間にHISH法でウィリアムズ症候群との確定診断を受けた患者の血管造影上の特徴をレビューした。これらのデータをウィリアムズ症候群を持たない肺動脈狭窄と診断された患者のものと比較した。両グループの形態学上で区別できる血管造影特徴を個体統計学的観点と心エコーのデータに従って比較した。染色体検査を受けてウィリアムズ症候群と診断され、心臓カテーテル検査を受けた患者12人を特定した。そのうち7人が男性である。11人の患者(91%)は大動脈弁上狭窄症を持ち、9人(81%)に肺動脈狭窄があった。肺動脈弁狭窄がみられたのは患者2名であった。同じ時期にウィリアムズ症候群ではないが肺動脈狭窄をもつ患者8人が特定された。2人はアラジール症候群で1人はヌーナン症候群だった。ウィリアムズ症候群のグループでは心臓カテーテル検査を受けた平均年齢は5歳であるのに対し、非ウィリアムズ症候群グループは8歳であった。主肺動脈を含む肺動脈憩室症はウィリアムズ症候群のグループでは全員に記録されているが、対照群では1人もみあたらなかった。全員が肺動脈の分枝部分から発生していた。結論としては主肺動脈の拡張部分としての憩室という血管造影特徴はウィリアムズ症候群患者には共通的にみられることがわかった。大動脈弁上狭窄症や肺動脈狭窄症などこれまでよく指摘されている病変と比較しても、肺動脈憩室症をウィリアムズ症候群の代表的な特徴としてとらえることが可能である。

(2010年3月)



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