ウィリアムズ症候群における胸部大動脈狭窄



Stenosis of the Thoracic Aorta in Williams Syndrome.

Collins RT 2nd, Kaplan P, Rome JJ.
Division of Cardiology, The Cardiac Center, The Children's Hospital of Philadelphia, 8th Floor, Main Building, 34th Street and Civic Center Blvd, Philadelphia, PA, 19104, USA, collinsr@email.chop.edu.
Pediatr Cardiol. 2010 Apr 22. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は先天性多臓器障害であり出生8000回に1回の割合で発症する。本研究の目的は本症候群の患者における胸部大動脈狭窄(STA)の診断経験を概説することである。今回の遡及的概説は、1980年1月1日から2007年12月31日までフィラデルフィア子ども病院を継続的に受診した患者を対象に行った。経験豊かな遺伝医かFISH検査で診断を行なった。狭窄は心エコーか心臓カテーテルで診断した。治療介入が不要かどうかはカプラン・マイヤー生存分析(Kaplan-Meier analysis)を用いた。コホート集団は270人の患者からなり、胸部大動脈狭窄は37人(14%)に認められ、彼らを研究対象グループとした。発見された時点の年齢は2.1歳+/-4.0歳で、経過観察期間は11.8年+/-12.6年(範囲:0歳-51歳)である。広範囲型胸部大動脈狭窄(89%)は分散型より多く見られた。胸部大動脈狭窄の程度は、軽度が18人、中度が10人、重度が9人であった。胸部大動脈分枝狭窄は胸部大動脈狭窄患者中の62%(37人中23人)にみられ、大動脈弁上狭窄症は54%(37人中20人)にみられた。9人(24%)の患者は胸部大動脈狭窄の治療を受けた。8人は重度、1人は中度であった。治療後の再狭窄は9人中5人の患者(56%)で発症し、5人中4人の患者(80%)は複数回の治療をうけた。治療介入が不要と判断された患者は、1年、5年、20年後の時点でそれぞれ89%、82%、73%であった。患者1人が死亡した。ウィリアムズ症候群において胸部大動脈狭窄は数多く見られ、広範囲型が大部分を占める。胸部大動脈狭窄の患者は治療をうけることが多く通常は5歳までである。再狭窄がしばしばおこる。

(2010年4月)



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