血圧が正常なウィリアムズ症候群児における動脈の硬さの増加
Increased arterial stiffness in children with Williams syndrome and normal blood pressure
Bassareo PP, Mercuro G.
Department of Cardiovascular and Neurological Sciences, University of Cagliari, Cagliari, Italy.
Blood Press Monit. 2010 Aug 19. [Epub ahead of print]
目的:
動脈の弾性喪失に起因していると思われる高血圧はウィリアムズ症候群患者によくみられる。本研究は、正常血圧の若年ウィリアムズ症候群患者であっても同症候群患者の動脈伸展性が、健康で正常血圧の対照群被験者に比べて低下していることを調べる事を目的としている。動脈伸展性はQKd間隔を自動的に記録することで評価した。
手法:
29人の(高血圧および正常血圧の)ウィリアムズ症候群児(12.8±4.1歳)が参加した。動脈の硬さは標準非観血的QKd100-60法で計測した。24時間携帯型血圧測定を行い、経胸壁心エコーも実施した。
結果:
高血圧のウィリアムズ症候群児は、正常血圧のウィリアムズ症候群児と比較して24時間携帯型血圧プロファイルは有意に違いが見られた(収縮期血圧:P<0.0001、拡張期血圧;P<0.0001、平均血圧:P<0.0001)。研究に参加したウィリアムズ症候群児29人全員が、対照群に比べてQKd100-60値において有意に不利な差異が観測された(P<0.0001)。ウィリアムズ症候群児間では、高血圧群と正常血圧群でQKd100-60値には統計的に有意な差は見られない(P=有意差なし)。
結論:
本研究で得られたデータは、ウィリアムズ症候群において動脈の硬さは、血圧が正常でも増加していることを示している。これは、あきらかに重篤な循環器系の合併症がないウィリアムズ症候群の患者でも、将来問題が可能性を示している。
(2010年8月)
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