もやもや病を併発したウィリアムズ症候群患者の予測不可能な手術後全体的脳梗塞



Unpredictable postoperative global cerebral infarction in the patient of Williams syndrome accompanying moyamoya disease.

Sim YW, Lee MS, Kim YG, Kim DH.
Department of Neurosurgery, Chungbuk National University College of Medicine, Chungbuk, Korea.
J Korean Neurosurg Soc. 2011 Sep;50(3):256-9. Epub 2011 Sep 30.

もやもや病を併発したウィリアムズ症候群患者が手術後に全体的脳梗塞を発生した症例を報告する。ウィリアムズ症候群はまれな遺伝性疾患であり、結合組織の異常や循環器系疾患を伴う。我々が知りうる限り、この報告はウィリアムズ症候群でもやもや病を併発した2例目の症例である。9歳の男児が大動脈縮窄症の2度目の手術後に右半身麻痺を呈した。この患者は1歳の時点でウィリアムズ症候群の診断を受けている。脳MRI検査を行ったところ左大脳皮質に梗塞が発見され、血管造影の結果、両側の頚動脈の狭窄ともやもや血管がみられた。さらに脳梗塞が悪化するリスクを軽減するために、成功裏に間接的吻合術を実施した。術後、患者は順調に回復したが、術後3日目に、異常を示す予兆症状がまったくないままに患者の瞳孔が散大した。脳のCTによれば全体的脳梗塞が発生していた。積極的な治療を行なったが、患者は回復せず1週間後に脳死状態になった。この症例のようなもやもや病を併発する不安定なウィリアムズ症候群患者は、通常のもやもや病患者に比べて、手術後に厳重な監視下における鎮静期間を必要とする。さらに、通常のもやもや病患者に比べてより細心の注意をはらって血管再建術に臨むべきである。予測不可能な手術後の虚血性合併症が発生する可能性を心に留めておくべきである。

(2011年11月)



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