心筋灌流シンチグラフィーとCT血管造影を利用したウィリアムズ症候群患者の冠動脈異常の評価
Evaluation of coronary artery abnormalities in Williams syndrome patients using myocardial perfusion scintigraphy and CT angiography.
Ergul Y, Nisli K, Kayserili H, Karaman B, Basaran S, Dursun M, Yilmaz E, Ergul N, Unal SN, Dindar A.
Cardiol J. 2012;19(3):301-8.
背景:
ウィリアムズ症候群患者における突然死のリスクは母集団に比べて25倍から100倍高いことが示されている。本研究は非侵襲診断方法を用いてウィリアムズ症候群患者の冠動脈異常と心筋灌流欠陥を探索することである。
手法:
本研究ではウィリアムズ症候群と診断された38人の患者を取り上げた。理学的検査に加えて、心電図と心エコー、安静/ジピリダモール(血小板凝集抑制薬;抗狭心症薬)ストレス時のテクネチウム99mセスタミビ造影剤((99)mTc-sestamibi)を使った単一光子放射型CT(SPECTCT)血管造影心筋灌流シンチグラフィー(MPA)を実施した。
結果:
患者の21人(55%)は男性、17人(45%)が女性であった。患者の平均年齢は12歳±5歳(2.5歳から26歳)であり、経過観察期間は7.2年±4.2年(6カ月から18年)であった。循環器異常が患者の89%に見つかっており、最も多い異常は大動脈弁上狭窄症(SVAS)である。CT血管造影を実施した結果、冠動脈異常が10人(26%)にみつかり、最も多い異常は心筋ブリッジ及び左主幹冠動脈と右冠動脈近位部の拡張である。大動脈弁上狭窄症は冠動脈異常を有する患者の80%にみられる。99mテクネチウム−セスタミビSPECT MPSの結果、29%の患者の心筋血流不全、CT血管造影の結果冠動脈異常が発見された患者10人のうち7人(70%)にみられた血流不全という結果と一致する可能性がある。
結論:
冠動脈異常はウィリアムズ症候群患者に比較的共通してみられる異常であり、大動脈弁上狭窄症と伴うことも多い。CT血管造影とジピリダモール99mテクネチウム−セスタミビSPECT MPSは、ウィリアムズ症候群患者の冠動脈異常と心筋灌流欠陥を発見するための侵襲性の低い方法だと考えられる。
訳者注:心筋ブリッジ=冠動脈が心筋に埋没した状態。
(2012年6月)
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