大動脈弁上狭窄症の外科治療に対する長期予後
Late Outcomes for Surgical Repair of Supravalvar Aortic Stenosis.
Deo SV, Burkhart HM, Schaff HV, Li Z, Stensrud PE, Olson TM, Connolly HM,Dearani JA
Division of Cardiovascular Surgery, Mayo Clinic and Foundation, Rochester, Minnesota.
Ann Thorac Surg. 2012 Jun 22. [Epub ahead of print]
背景:
大動脈弁上狭窄症の外科治療管理経験をレビューし長期予後と時間経過後に再手術に至る要因を確認した。
手法:
1956年8月から2009年5月の間に78人の患者(男性50人)が大動脈弁上狭窄症に関連して手術を受けた。年齢のメジアンは10.4歳(範囲は16日から55.2歳)であった。手術前の平均圧較差は57.2±21.9mmHg、最大圧較差は99.5±34.8mmHgであった。大動脈弁上狭窄症の分離型は51人の患者(64%)に、びまん型は27人の患者(35%)でみられた。大動脈弁狭窄症は22名の患者(29%)にみられた。ウィリアムズ症候群は32人の患者(41%)で確認された。
結果:
手術は2種類で、ダイアモンド型パッチが67人の患者(85.9%)か、パンタロン型パッチが11人の患者(14.1%)に適用された。大動脈弁への介入治療は20人の患者(25.64%)で必要となった。修復後の平均圧較差は25±25 mmHgで、13人の患者に圧較差が残留した。大きな圧較差はびまん型のグループにみられる傾向がある(オッドレシオ 3.73、95%の信頼区間では1.07から12.98)。2名が早期に死亡(2.6%)し、両名ともびまん型大動脈弁上狭窄症であった。経過観察期間のメジアンは19.8年で最長は48.5年だった。長期予後における左心室拍出経路の平均圧較差は8.8mmHg (95%信頼区間では 3.7から14.01)だった。5年、10年、20年の生存確率はそれぞれ90%±7%、84%±9%、8%2±10%だった。死亡率の予測因子は2歳以下の年齢(p=0.021)、びまん型大動脈弁上狭窄症(p=0.045)、大動脈弁狭窄症(p=0.032)、手術後の高い圧較差(p=0.023)であった。ウィリアムズ症候群の存在は生存率には影響を与えない(p=0.305)。5年、10年、20年に再手術を受けない可能性はそれぞれ97%±4%、93%±7%、86%±10%だった。大動脈弁の重度の障害(p<0.001)とびまん型大動脈弁上狭窄症(p<0.009)が時間経過後に再手術にいたるリスク因子である。
結論:
単パッチ技法で行なわれる大動脈弁上狭窄症の外科治療は長期予後の成績が良い。時間が経過したのちの死亡、あるいは再手術はびまん型大動脈弁上狭窄症か大動脈弁狭窄の存在に強く関連する。
(2012年6月)
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