大動脈弁上狭窄症を有する成人の循環器系予後
Cardiac outcomes in adults with supravalvar aortic stenosis.
Greutmann M, Tobler D, Sharma NC, Vonder Muhll I, Mebus S, Kaemmerer H, Schuler PK, Deanfield JE, Beauchesne L, Salehian O, Hoffmann A, Golovatyuk V, Oechslin EN, Silversides CK.
Adult Congenital Heart Disease Program, University Hospital Zurich, Zurich, Switzerland.
Eur Heart J. 2012 Jul 19. [Epub ahead of print]
目的:
大動脈弁上狭窄症は左室流出路の通過障害の珍しい形態であり、子どもの時期に進行することが多い。成人集団の予後に関する利用可能なデータはほとんどない。我々の目的は大動脈弁上狭窄症を有する成人の循環器系の予後を明確にすることである。
手法と結果:
本研究は複数の機関またがり大動脈弁上狭窄症を有する成人(18歳以上)に循環器予後に関する遡及的な研究である。我々は、(i)有害な循環器発症(心臓死、心筋梗塞、心臓発作、心不全、持続性不整脈、感染性心内膜炎)と、(ii)成人期における循環器系手術の必要性を調査した。113人の成人(初診年齢の中央値は19歳;55%がウィリアムズ症候群を有する;67%は子どもの頃に手術を受けている)を調査した。ウィリアムズ症候群を有していない成人は大動脈弁上狭窄症の程度が重度であり、左室流出路の通過障害を合併することが多い(P < 0.001)。対照的に僧帽弁逆流症はウィリアムズ症候群患者のほうに多く見られた。成人の85%(96/113)には一連の経過観察情報(観察期間の中央値は6.0年)がある。これらの患者のうち、13%(12/96)に有害な循環器発症があり、13%(12/96)は循環器手術(弁の修復あるいは交換が7、大動脈弁上狭窄症の修復が4、その他が1)を受けている。循環器系の手術はウィリアムズ症候群の成人に多い(P < 0.007)。成人期における大動脈弁上狭窄症の進行は稀である。
結論:
大動脈弁上狭窄症を有する成人は循環器系合併症や再手術のリスクが残っているが、成人期における大動脈弁上狭窄症の進行は稀である。弁の手術が成人における循環器系の手術の最も共通的な兆候である。
(2012年7月)
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