小児における腹部狭窄と合併症
Abdominal Coarctation and Associated Comorbidities in Children.
Parent JJ, Bendaly EA, Hurwitz RA.
Department of Pediatric Cardiology, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, Ind, USA.
Congenit Heart Dis. 2013 May 13. doi: 10.1111/chd.12082. [Epub ahead of print]
目的:
本研究の目的は小児における腹部狭窄とその合併症に関する一機関での経験を報告することである。
背景:
腹部狭窄は、大動脈弁上狭窄症全体の2%以下にしかならない稀な疾患である。小児科の患者の中では腹部狭窄の患者は他の循環器系の疾患を合わせ持つと報告されている。
方法:
当院にある2001年から2012年の心エコー検査記録データベースを調査して腹部狭窄を呈する全患者を探索した。関連した臨床記録をレビューした。
結果:
腹部狭窄を呈する患者は9人であった。診断時点の年齢の中央値は4.7歳(四分位範囲 1.1歳〜14.3歳)であった。他の循環器系診断は3人の患者にみられた。1人は中程度の大動脈弁閉鎖不全と大動脈基部拡張、1人は軽度の大動脈弁閉鎖不全と重度の僧坊弁閉鎖不全と心房粗動、1人は以前に治療された胸部狭窄であった。8人の患者(89%)には非心臓性の合併症が存在した。合併症には、高安動脈炎(3人)、全身性エリテマトーデス(1人)表皮母斑症候群(1人)、腹部血管腫 (1人)、ウィリアムズ症候群(1人)、腎血管狭窄症(2人)であった。 治療は4人(57%)の患者で実施され、2人は移植片手術、2人はステントを留置する血管形成術であった。移植片手術を受けた2人はその後の治療は不要であったが、ステントを使った血管形成術を受けた2人の患者は追加でステントの留置が必要となった。
結論:
腹部狭窄は稀少な疾患である。本症は他の循環器異常を合併することが多い。腹部狭窄を有する子どもは血管炎を疑うべきである。治療を受けた患者も含めて全患者は密接な観察が必要である。
(2013年5月)
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