ウィリアムズ症候群のエラスチン遺伝子半接合欠失を有する患者の頭蓋内動脈
Intracranial Arteries in Individuals with the Elastin Gene Hemideletion of Williams Syndrome.
Wint DP, Butman JA, Masdeu JC, Meyer-Lindenberg A, Mervis CB, Sarpal D, Morris CA, Berman KF.
AJNR Am J Neuroradiol. 2013 Jul 18. [Epub ahead of print]
背景と目的
ウィリアムズ症候群は、極端な社会性や視空間構成能力の障害などの顕著な神経行動的プロフィールを有する希少遺伝子疾患であり、大動脈弁上狭窄症やその他の動脈の狭窄病変の原因となるエラスチン遺伝子を含む半接合欠失を原因とする。ウィリアムズ症候群では脳卒中も報告されている。ウィリアムズ症候群の症例において頭蓋外頚動脈については研究が行われているが、近位頭蓋内動脈についは行われていない。
材料と手法:
MRA(核磁気共鳴血管撮影)を用いて27人の被験者の頭蓋内血管を検査した。ウィリアムズ症候群患者14人(年齢範囲:18歳から44歳、平均年齢27.3±9.1歳、43%が女性)と13人の健康な対照群(年齢範囲:22歳から52歳、平均年齢33.4±7.6歳、46%が女性)である。ウィリアムズ症候群の全被験者はエラスチン遺伝子の半接合欠失を有している。どちらのグループに属しているか及びその他の臨床データを伏せて、神経放射線医が両グループの頭蓋内血管変異の存在を確定した。
結果:
ウィリアムズ症候群のグループも健康な対照群グループも内頚動脈や椎骨動脈、脳底動脈、前大脳動脈の基部と近位枝を含む近位頭蓋内動脈、中大脳動脈、後大脳動脈の開存性については同様であった。後大脳動脈の交通後部はウィリアムズ症候群グループのほうが長い。
結果:
エラスチンのハプロ不全にもかかわらず、ウィリアムズ症候群の近位頭蓋内動脈は正常な開存性を維持している。
(2013年7月)
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