ウィリアムズ症候群における大動脈弁上狭窄と肺動脈末端狭窄の自然経過



Natural course of supravalvar aortic stenosis and peripheral pulmonary arterial stenosis in Williams' syndrome.

Kim YM, Yoo SJ, Choi JY, Kim SH, Bae EJ, Lee YT
Department of Radiology, Sejong Heart Institute, Korea.
Cardiol Young 1999 Jan;9(1):37-41

大動脈弁上狭窄と肺動脈末端狭窄の自然経過を評価するために、ウィリアムズ症候群の患 者26人に対してカテーテル検査と血管造影の結果を調査した。狭窄の程度は、年齢・肺 動脈指数(pulmonary arterial index)に関する体表面積・右心室収縮期圧・結合部大動脈 径比率(大動脈結合部分の正常平均直径に対する実測値の比率)・大動脈結合部分前後の収 縮期圧較差と相関がある。肺動脈狭窄の患者(n=20)では、年齢及び体表面積が増加するに つれて、右心室収縮期圧は減少する傾向にあり、肺動脈指数は増加傾向を示す。肺動脈狭 窄を持つグループと持たないグループの間には、年齢(平均 4.70 対 9.87, p=0.019)・体 表面積(0.62 対 1.16, p=0.002)・肺動脈指数(152 vs. 317, p=0.002)、右心室収縮期圧(73.9 vs. 33.0, p=0.006)において顕著な差が見られる。結合部大動脈径は年齢や体格とは無関 係に全患者で同程度の値を示しており、年齢や体表面積の増加にしたがって結合部大動脈 径比率は減少した。冠状動脈に異常を持つグループ(n=7)は冠状動脈が正常なグループに比 べて、結合部大動脈径比率は小さく(0.46 vs. 0.61, p=0.021)、左心室と大動脈間の圧較 差が大きい(67.6 vs. 42.2, p=0.023)。冠状動脈あるいは動脈弓枝の狭窄はびまん性大動 脈狭窄を持った3人の患者にのみ見られた。この結果は、時間の経過とともに、肺動脈狭 窄は快方に向かい、大動脈弁上狭窄は進行することを示している。大動脈結合部分が成長 しないことが大動脈の障害を進行さる原因になっている可能性がある。大動脈の障害が進 行すると冠状動脈にも影響が及ぶ可能性がある。

(1999年5月)

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