喀血を繰り返したWilliams-Beuren syndromeの1例
木村 博子、吉岡 泰子、松野 圭、難波 由喜子、石森 絢子、南條 友央太、吉岡 正剛、佐々木 信一、富永 滋
順天堂大学医学部附属浦安病院内科1
第591回 日本内科学会関東地方会(2012年10月) 21ページ
【症例】
【主訴】
【現病歴】
Williams-Beuren syndromeに合併した腎血管性高血圧を有する患者で、3日続く喀血と貧血のため入院した。28歳時にも大量喀血の既往があり、日頃から少量の血痰も繰り返していた。入院時の気管支鏡検査では特に気管分岐部から左右亜区域支にかけて粘膜血管の著明な怒張を認めた。肺動脈造影では多発性に左右肺動脈の末梢性狭窄と狭窄後拡張を認め、肺血流シンチは末梢肺の多発欠損像を呈していた。気管支動脈造影や胸部造影CTでは左右気管支動脈ともに起始部から末梢まで拡張蛇行しており側副血行として発達した変化と考えられ、繰り返す喀血の原因と推測された。また左腎動脈狭窄による腎血管性高血圧症を合併していたが、入院後よりARBとCa拮抗剤による厳重な血圧管理を行ってからは血痰・喀血は消失した。
【考察】
肺動脈狭窄による側副血行の発達と腎動脈狭窄による腎性高血圧症の悪化の結果、肺の小血管の破綻が生じ喀血したと考えられた。Williams-Beuren syndromeは先天性の稀少発達疾患であるが、喀血の報告はこれまでなく、初めての貴重な症例を経験したので報告する。
(2013年10月)
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