当施設におけるWilliams症候群63例の臨床的検討 - 合併病変をふまえた大動脈弁上狭窄の至適介入時期の検討
潟山 亮平1)2)、上野 健太郎1)、中村 英明1)、柳 貞光1)、上田 秀明1)、康井 制洋 1)
神奈川県こども医療センター 循環器科 1)
平塚市民病院 小児科 2)
日本小児循環器学会誌 28巻 suppl(平成24年6月1日) s298ページ
【背景】
Williams症候群は、心血管病変(大動脈弁上狭窄SVAS、末梢性肺動脈狭窄PPS)、妖精様顔貌、精神発達遅滞、低身長を主徴とする先天症候群である。7番染色体長腕(7q11.23)の微細欠失が原因であり、領域内のエラスチン遺伝子のハプロ不全によって血管平滑筋の最終分化が誘導されず過剰に増殖し心血管病変を引き起こす。SVAS、PPS、冠動脈狭窄が報告され突然死のリスクを伴う。当施設での経験をまとめ治療介入時期についての検討を行う。
【対象】
当院の診療録(1971年〜2011年)より後方視的に検討した。症例は63例(男30例、女33例)。年齢は1-40歳(中央値12歳)で、年齢別0-5歳15例、6-12歳20例、13-19歳17例、20歳以上11例であった。心血管病変55例(87%)、内SVAS 34例、PPS 20例、valvePS+supraPS 11例、MR 6例、CoA 1例、IAA 1例、ASD 1例、VSD+ASD+PDA 1例、VSD 1例、LCA閉塞 1例、LMT狭窄 1例であった。治療介入は、手術12例(SVAS 8例、PPS 1例、MR 3例)、SVASの8例は圧較差32〜150mmHg、年齢9カ月から11歳、パッチ拡大1例、Doty法3例、Myer法1例、Seo法3例、内1例は主適応が左冠状動脈であった。カテーテル治療は5例(PPS4例、PS1例)で有効例は1例であった。突然死は1例で、12歳時のSMA血栓による死亡例であった。
【考察】
期報告ではSVASの経年的な進行とPPSの自然改善の傾向が報告されている。しかし各病変への至適な治療介入は明確に定められていない。特に乳幼児にSVASとPPSを合併した症例では両室の機能低下をきたすことから慎重な治療検討が必要である。合併病変をふまえた大動脈弁上狭窄への至適介入時期の検討を行う。
(2013年12月)
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