ウィリアムズ症候群の高カルシウム血症の治療における食物中のカルシウムとビタミンDの重要性
Importance of dietary calcium and vitamin D in the treatment of hypercalcaemia in Williams-Beuren syndrome.
Lameris AL, Geesing CL, Hoenderop JG, Schreuder MF.
J Pediatr Endocrinol Metab. 2014 Feb 27.
【背景】
ウィリアムズ症候群は第7染色体上にある26-28個の遺伝子の欠失を原因とする希少遺伝子疾患である。ウィリアムズ症候群患者の15%は乳児期に高カルシウム血症を呈するが、一般的には軽度であり4歳までに自然治癒する。ウィリアムズ症候群における一過性の高カルシウム血症の根底にあるメカニズムはよくわかっていない。
【症例】
我々は1人のウィリアムズ症候群患者における重度症候性高カルシウム血症の症例を報告する。本症例では、簡易なカルシウム摂取制限、水分過剰摂取、ビスフォスフォネートの繰返投与を用いて治療を行ったが、治療効果は短期間しか得られなかった。カルシウムとビタミンDの摂取量を最低限度まで減らすことでのみ、血清中カルシウム濃度を長期にわたって下げることが可能になった。
【結論】
本症例はウィリアムズ症候群における高カルシウム血症の潜在的な重症度を例証するとともに、この疾患の原因と治療方法の両面がカルシウムの腸管吸収に求められる可能性を示唆している。ウィリアムズ症候群と一過性特発性乳児高カルシウム血症の間の表現型上の類似性が、その根底にある遺伝子の欠陥の類似性で説明できるという仮説を提示する。最近になって、一過性乳児高カルシウム血症に苦しむ患者は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3の分解にかかわる重要な酵素である、CYP24A1の突然変異を有していると報告されている。この新たな発見の恩恵のもと、ウィリアムズ症候群で欠失している遺伝子のひとつであるウィリアムズ症候群転写因子(WSTF)がウィリアムズ症候群の高カルシウム血症の病因に対して果たす役割について議論する。
(2014年3月)
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