稀な心血管病変を合併したWilliams症候群の3例
齋藤 千徳、藤本 義隆、菅本 健司、菱谷 隆、星野 健司、小川 潔
埼玉県立小児医療センター循環器科
日本小児科学学会誌 117巻 2号(2013年2月) 465ページ
Williams症候群(WS)の心血管病変としては大動脈弁上部狭窄(SVAS)や末梢性肺動脈狭窄(PPS)が多いが、その他の心血管病変の報告も散見される。当科で経験した稀な心血管病変を合併したWSの3例について報告する。
【症例1】
出生後心雑音を認めPPSと診断、その後にWSと診断された。1歳時に感冒を契機に右心不全が憎悪し当科紹介受診。PPSに加え高度の三尖弁閉鎖不全(TR)を認めた。2歳時にTVP、PA plasty施行。術中所見で三尖弁前尖にcleftを認めた。術後一時期にTRは改善したが徐々に憎悪、PPSの解除も不十分で右心室のコントロールに難渋している。
【症例2】
1ヶ月検診にて頻脈、チアノーゼを指摘され当科紹介受診。多発性PPS、大動脈低形成、大動脈縮窄(CoA)と診断。CoAに対してCoactectomy施行。その後WSと診断される。4歳時にreCoAを認めreCoactectomy施行。5歳時の心臓カテーテル検査にて胸部下行大動脈にlong segmentな狭窄を認めステント留置を行った。
【症例3】
他院にてWSと診断。SVAS、僧房弁閉鎖不全(MR)、右多嚢胞腎、腎血管性高血圧、脳梗塞の既往を認め、4歳時に当院紹介受診。Brain MRIでもやもや病が疑われ脳血管造影を行い診断が確定。13歳時の心臓カテーテル検査でSVASは目立たなかったが、MR3°のためMVPを施行した。腹部大動脈造影では上腸間膜動脈に多発性狭窄を認めた。
WSでは多彩な血管病変をきたす可能性があるため注意が必要である。
(2014年6月)
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