ウィリアムズ症候群の子どもにおける大動脈弁上狭窄症に対する外科治療:30年の経験
Surgical Repair of Supravalvular Aortic Stenosis in Children With Williams Syndrome: A 30-Year Experience.
Fricke TA(1), d'Udekem Y(2), Brizard CP(2), Wheaton G(3), Weintraub RG(2), Konstantinov IE(4).
Author information:
(1)Departments of Cardiac Surgery and Cardiology, Royal Children's Hospital, Melbourne, Victoria, Australia; University of Melbourne, Melbourne, Victoria, Australia.
(2)Departments of Cardiac Surgery and Cardiology, Royal Children's Hospital, Melbourne, Victoria, Australia; University of Melbourne, Melbourne, Victoria, Australia; Murdoch Children's Research Institute, Melbourne, Victoria, Australia.
(3)Women's and Children's Hospital, Adelaide, South Australia, Australia.
(4)Departments of Cardiac Surgery and Cardiology, Royal Children's Hospital, Melbourne, Victoria, Australia; University of Melbourne, Melbourne, Victoria, Australia; Murdoch Children's Research Institute, Melbourne, Victoria, Australia. Electronic address: igor.konstantinov@rch.org.au.
Ann Thorac Surg. 2015 Feb 6. pii: S0003-4975(14)02208-5.
背景:
ウィリアムズ症候群は稀少な遺伝子疾患であり子どものころに大動脈弁上狭窄症を合併する。一つの医療機関において過去30年間に大動脈弁上狭窄症の治療を受けたウィリアムズ症候群の子供の治療成績をまとめた。
手法:
1982年から2012年の間に28人のウィリアムズ症候群患者が大動脈弁上狭窄症の手術を受けた。手術時の平均年齢は5.2歳(範囲は3か月から13歳)で、手術時の平均体重は18.6kg(範囲は4.1から72.4kg)であった。11人の患者(39.3%)は大動脈弁上狭窄症の治療と同時に循環器の合併症の治療を行った。もっとも多い循環器の合併症は主肺動脈狭窄(28人中8人、28%)であった。
結果:
10人の患者が3パッチ術、17人がDoty術、1人(3.6%)がMcGoon術を受けた。術後初期の死亡例はない。96%(28人中27人)が経過観察を完了した。全体的平均経過観察期間は11.2年(範囲は1か月から27.3年)であった。3パッチ術を受けた患者に対する平均経過観察期間は5年(範囲は1か月から14.3年)、Doty術では14.7年(範囲は6週間から27年)であった。17にのDoty術患者の内、後期死亡が4名(24%)で発生し、時期は最初の手術から6週、3.5年、4年、16年であった。3パッチ術を受けた患者では後期死亡者はいない。全体としての生存者は術後5年、10年、15年で86%であった。Doty術を受けた患者の生存者は術後5年、10年、15年で82%であった。全体として27人中6人の患者が平均11.2年後(範囲は3.6年から23年)に再手術を受けている。3パッチ術を受けた患者で再手術を受けた患者はいない。全体として患者は5年後で91%、10年後と15年後で73%であった。Doty術を受けたのち再手術を必要としない患者は5年後で93%、10年後と15年後で71%であった。
結論:
ウィリアムズ症候群の子どもにおける大動脈弁上狭窄症の外科治療は術後に素晴らしい結果がでている。しかし、後期において死亡や病的状態が有意に発生していることから丁寧な経過観察が必要である。
(2015年2月)
目次に戻る