夜間の心拍数の上昇と反射波はウィリアムズ症候群の子供の循環器系疾患の先行指標になる
Increased nocturnal heart rate and wave reflection are early markers of cardiovascular disease in Williams-Beuren syndrome children.
Maloberti A(1), Cesana F, Hametner B, Dozio D, Villa P, Hulpke-Wette M, Schwarz A, Selicorni A, Wassertheurer S, Mancia G, Giannattasio C.
Author information:
(1)Milano-Bicocca University and Cardiologia IV, Cardiovascular A. De Gasperis Department, Niguarda Ca'Granda Hospital, Milan, Italy
(2)Austrian Institute of Technology, Wien, Austria
(3)Pediatric Division G?ttingen, G?ttingen
(4)I.E.M., Stolberg, Germany
(5)Pediatric Clinic Division, Milano-Bicocca University and San Gerardo Hospital, Monza fMilano-Bicocca University and Istituto Auxologico Italiano, Milan, Italy.
J Hypertens. 2015 Apr;33(4):804-9. doi: 10.1097/HJH.0000000000000454.
目的:
ウィリアムズ症候群は遺伝子疾患であり、循環器の異常やリスクを高める原因となっているエラスチン遺伝子が含まれている。しかし、この疾患の患者における動脈機能に関するデータは数が少ないうえに矛盾を含んでいる。本研究の目的はウィリアムズ症候群の過程における中心および末梢血圧の動的挙動と動脈硬化パラメータを評価することである。
手法:
ウィリアムズ症候群の小児患者19名(年齢 13±4歳)と年齢・身長・血圧を一致させた23人の対照群(10±4歳)を参加させた。携帯式血圧測定器システム(Mobil-O-Graph)による24時間携帯式血圧を評価し、同時に24時間中心血圧と24時間動脈硬化パラメータも計算した。頸動脈−大腿動脈脈波伝播速度(cf-PWV)を全ウィリアムズ症候群患者に対して評価した(Complior)。
結果:
昼間と夜間の血圧はウィリアムズ症候群と対照群で似ていた。24時間中心血圧の挙動も同様であった。しかし、夜間においてウィリアムズ症候群患者は心拍数(心拍 78±10 対 71±9 回/分; P<0.03)、脈波指標(Aix 24.6±13.5% 対 16.5±8.9%; P=0.03)、反射波の大きさ(reflection magnitude:68 5.8 対 63.5 8.1; P=0.02)は対照群より高い。心拍数、脈波指標、反射波の大きさが昼間に減少するシフトは対照群に比べてウィリアムズ症候群では少ない。ウィリアムズ症候群の子供の頸動脈−大腿動脈脈波伝播速度は正規化した期待値と比較して差はみられない。
結論:
ウィリアムズ症候群の子供では、夜間に心拍数、脈波指標、反射波の大きさが高くなること及び昼間にそれらが生理学的に減少しないという障害の存在は、交感神経による循環器制御や脈波反射の異常や細い動脈の抵抗が増加していることを示唆している。これらの変異は交感神経の過活動が原因である可能性があり、この症候群の患者の循環器系機能異常の初期特徴とみなすことができる。
(2015年5月)
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