ウィリアムズ症候群における冠動脈尖点転置による冠動脈入口部閉塞症



Coronary ostium occlusion by coronary cusp displacement in Williams syndrome

塩M 直1)、藤井克則1)、江畑亮太1)、船橋伸禎2)、松宮護郎3)、斉藤裕子1), 武智史恵1)、米盛 葉子4)、中谷 行雄4)、下条直樹1)
1) 千葉大学大学院医学研究院小児病態学
2) 千葉大学大学院医学研究院循環器内科学
3) 千葉大学大学院医学研究院心臓血管外科学
4) 千葉大学大学院医学研究院診断病理学
Pediatr Int. 2015 Dec 29. doi: 10.1111/ped.12828. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は染色体7q11.23領域の異型接合的欠失を原因とする隣接遺伝子欠失症候群であり、特有の顔貌特徴や大総脈弁上狭窄症を特徴とする。本症候群では予期せぬ心臓死が稀に発生し、本症例の報告にもあるとおり、たとえ頻繁に監視を行ったとしてもそれを予想することは困難である。我々はここに日本人でウィリアムズ症候群を有する6歳女児で、咽頭炎後に心臓閉塞を起こしたため突然の心臓崩壊(cardiac collapse )を起した症例を報告する。重篤な経過の後心不全を起し、カテコールアミン支援や体外循環支援による心臓休養にも反応しなかった。顕著な冠動脈狭窄は認められなかったが、左冠動脈尖点が異常な状態で大動脈壁に固着しており、大動脈弁上狭窄症とともに冠動脈入口部閉塞症の相乗原因となっていた可能性がある。ありふれた風邪によって引き起こされたとはいえ、血行力学的状態が変化したことが大動脈弁上狭窄症を有するウィリアムズ症候群における決定的な心筋発症につながった可能性がある。

(2016年1月)



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