末期の虚血性心不全とウィリアムズ症候群:小児心臓移植にたいするユニークなシナリオ



End-stage ischemic heart failure and Williams-Beuren syndrome: A unique scenario for pediatric heart transplantation.

Gonzalez-Lopez MT(1,)(2), Perez-Caballero-Martinez R(1,)(2), Granados-Ruiz MA(3), Garcia-Torres E(4), Alvarez-Garcia-Roves R(2,)(5), Gil-Villanueva N(2,)(5), Camino-Lopez M(2,)(5), Gil-Jaurena JM(1,)(2).
Author information:
(1)Pediatric Cardiac Surgery Department, Gregorio Maranon Hospital, Madrid, Spain.
(2)Gregorio Maranon Health Research Institute - Instituto de Investigacion Sanitaria Gregorio Maranon (IiSGM), Madrid, Spain.
(3)Pediatric Cardiology Department, Pediatric Heart Institute - "12 de Octubre" Hospital, Madrid, Spain.
(4)Pediatric Cardiac Surgery Department, Pediatric Heart Institute - "12 de Octubre" Hospital, Madrid, Spain.
(5)Pediatric Cardiology Department, Gregorio Maranon Hospital, Madrid, Spain.
Pediatr Transplant. 2016 Feb 25. doi: 10.1111/petr.12694. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群はエラスチン遺伝子を含む染色体の7q11.23サブバンドにおける突然変異を原因とする希少疾患である。臨床特徴(頭蓋顔面や発達や循環器系の異常)は変異に富んでいる。循環器系異常の合併はよく認められる症状であり、大動脈弁上狭窄症は最も多くみられる循環器系異常である。末期の虚血性心不全がこれらの症状群には含まれることは珍しいが、いったん発生すると、同所性心臓移植(OHT:Orthotopic Heart Transplant)が残された最終的治療選択肢となる。この決定は決断することが難しく、臨床状態や循環器や他の臓器に随伴する病変を基にして患者毎に考え合わせる必要がある。現在のところ、ウィリアムズ症候群患者に対する同所性心臓移植の症例は報告されていない。我々は本稿で、大動脈弁上狭窄症の治療として複雑な段階を経た外科手術を行った後に心不全を発症しそれに引き続いて重度の左心室不全を発生させた14ヵ月のウィリアムズ症候群患者の症例を報告する。彼は成功裏に同所性心臓移植手術を終え、術後の合併症もなく、3か月間の経過観察時点で標準的免疫抑制療法に対して無症候であった。本症例は、選ばれたウィリアムズ症候群の子どもの延命の適応として同所性心臓移植を行った初の実証である。さらに、心臓移植が適応となる状況を拡大するための基本原則と移植後看護特殊性を合わせて議論する。

(2016年3月)



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