高カルシウム血症の発生頻度と病因
Frequency and aetiology of hypercalcaemia.
McNeilly JD(1), Boal R(2), Shaikh MG(2), Ahmed SF(2).
Author information:
(1)Department of Clinical Biochemistry, Queen Elizabeth University Hospital, Greater Glasgow & Clyde NHS Trust, Glasgow, UK.
(2)Developmental Endocrinology Research Group, Royal Hospital for Sick Children, University of Glasgow, Glasgow, UK.
Arch Dis Child. 2016 Feb 22. pii: archdischild-2015-309029. doi: 10.1136/archdischild-2015-309029. [Epub ahead of print]
背景:
高カルシウム血症は子どもでは珍しく、特徴的な兆候や症状を伴うか、様々な非特異的疾患の検査を行った結果として現れることがある。子ども時期の高カルシウム血症の病因は様々である。治療をせずに高カルシウム血症が持続した場合、重篤な臨床結果が待ち受ける。しかし、現在のところ子ども時期の高カルシウム血症の正しい発生頻度と病因に関するデータは限られている。
目的:
日常的な診療の中で子ども時期の重度高カルシウム血症の発生頻度を求める。
手法:
研究室のデータベースから、2007年から2012年にかけて補正前の値が2.90mmol/L以上で定義した重度高カルシウム血症の子ども(0歳から17歳)を検索した。高カルシウム血症は一過性(1日)と持続性(連続2日以上)のどちらかに分類した。持続性の重度高カルシウム血症の全症例に対して遡及的分析を行い、基礎となる病因を特定した。
結果:
5年以上の期間で、206人の子どもが2.90mmol/L以上 (全 61,380件のカルシウム検査要求の0.3%の重度高カルシウム血症と特定された。そのうち131人(63.3%)が持続性高カルシウム血症に分類された。重度高カルシウム血症の発生頻度は新生児で一番高く(持続性症例の42%)、年齢と逆相関を示す。敗血症がもっとも多い病因(24%)であり、特に新生児においては新生児高カルシウム血症の症例の41%を占める。内分泌系の病因には、先天性副腎皮質過形成症(2例)、脂肪壊死症(1例)、アジソン病(2例)が含まれる。遺伝子に起因する症例には、3人の子どもが含まれる(家族性低カルシウム尿症高カルシウム血症が2例、ウィリアムズ症候群が1例)。
結論:
持続性高カルシウム血症は総合病院環境においては500人に一人が罹患している。発生頻度は新生児が一番高く、基礎疾患は年齢に伴って著しく変化する。持続性高カルシウム血症を呈する子どもは全員、基礎疾患を特定する検査を通じて適切な治療管理を確定させることが求められる。
(2016年3月)
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