エラスチン動脈症の子どもの周術期病状
Perioperative morbidity in children with elastin arteriopathy.
Latham GJ(1), Ross FJ(1), Eisses MJ(1), Richards MJ(1), Geiduschek JM(1), Joffe DC(1).
Author information:
(1)Department of Anesthesiology & Pain Medicine, Seattle Children's Hospital, University of Washington School of Medicine, Seattle, WA, USA.
Paediatr Anaesth. 2016 Jul 11. doi: 10.1111/pan.12967. [Epub ahead of print]
背景:エラスチン動脈症の子どもは、大多数がウィリアムズ症候群を有しているが、突然死のリスクが高い。症例報告によると、周術期の心停止や死亡のリスクは高いことが示唆されているが、麻酔を受けたエラスチン動脈症の子どもの同齢集団全体における、病的状態や死亡数に関する発生頻度やリスク要素の報告はい。
目的:本研究の目的は、一医療施設で麻酔を受けたエラスチン動脈症の子ども全員の病的状態や死亡数に関する発生頻度を示すことであり、もっとも危険なリスク要素につながる患者の特徴を調べることである。
手法:1990年から2013年にかけて当院で、なんらかの手術において麻酔あるいは鎮静処置を受けたエラスチン動脈症の子どもの診療記録を調査した。直近の循環器系カテーテル検査や心エコーによる循環器系の血行動態指標を被験者の子ども毎に一覧表にした。手術中から術後48時間の期間に発生した発生率、タイプ、合併症の合併要素を調べた。
結果:エラスチン動脈症と確定診断を受けた患者48人が合計141回の麻酔を受けた。7件の心停止(患者の15%、麻酔機会の5%)、9件の付加的術中循環器合併症(患者の15%、麻酔機会の6%)があった。体外心肺補助装置を必要としたのは5例であった。手術起因の死亡例はなかった。心停止や循環器合併症を呈した子どもは全員が3歳未満で両室性流出路通過障害があった。サブグループ分析を行ったところ、2つのグルーが心停止のリスクが高かった。両室性流出路通過障害(44%)と3歳未満(21%)の子どもであった。
結論:心停止や循環器合併症の発生頻度は麻酔を経験したエラスチン動脈症の子どもで有意に高まることを確認した。このグループにおいては3歳未満及び両室性流出路通過障害の子どもが大きなリスクにさらされている。
(2016年7月)
目次に戻る