大動脈弁状狭窄の中期手術成績
圓尾 文子、大嶋 義博、長谷川 智巳、松久 弘典、岩城 隆馬、松島 峻介、山本 真由子
兵庫県立こども病院 心臓血管外科
第59回関西胸部外科学会学術集会プログラム 160ページ
会期 平成28年6月16日(木)・17日(金)
【目的】当院の大動脈弁状狭窄(SVAS)手術症例の治療成績を検討すること。
【方法】2005 年以降に手術を行ったSVAS患者13 名を対象とした。Williams症候群4 例。discrete型 6 例、diffuse7 例。手術時年齢は中央値1 才4 ヵ月(1 ヵ月?9 才)、体重8.5kg(4.2?30kg)。手術術式はMyers-Waldhausen 法 4 例、patch によるsinus 拡大 8 例、Seo 法 1 例であった。冠動脈入口部のパッチ形成を行ったものが3 例、肺動脈形成同時施行が6 例あった。
【成績】術中冠虚血と思われる術死亡1 例、術前カテ時のショックによる脳死後の遠隔期死亡が1 例。術後循環虚脱に対するECMO導入が1 例あり、術後13 日目に右肺動脈閉塞に対して人工血管置換を行った後、ARDSに対する37 日間のECMO補助を要した。それ以外の再介入はSeo法によるSVAS解除術後8ヵ月目に冠動脈狭窄進行に対して冠動脈入口部のパッチ拡大をしたものが1例あった。本症例は術後対麻痺を合併した。肺動脈狭窄に対するカテーテル治療1 例。大動脈に対する再介入は現在のところない。
【結論】Myers-Valdhausen 法とパッチ拡大はSVAS 解除に対して共に有効であった。乳児早期で肺動脈形成も要する重症例に対しては1方向ないし2方向のパッチ形成とridge切除で心停止時間を短縮する方が有利であると考えられたが、冠動脈を圧迫しないようにsinusの切り込みやパッチの大きさに留意する必要がある。
(2017年1月)
目次に戻る