慢性血管硬化のモデルにおいて、ミノキシジルが、循環器系の容積弾性係数(容積弾性係数)を改善し、大脳内血流を回復し、細胞外基質遺伝子の発現を変える
Minoxidil improves vascular compliance, restores cerebral blood flow and alters extracellular matrix gene expression in a model of chronic vascular stiffness.
Knutsen R(1), Beeman SC(2), Broekelmann TJ(3), Liu D(4), Tsang KM(4), Kovacs A(5), Ye L(6), Danback J, Watson A(4), Wardlaw A(4), Wagenseil J(7), Garbow JR(8), Shoykhet M(9), Kozel BA(10).
Author information:
(1)NIH, United States.
(2)School of Medicine, Washington University in St. Louis.
(3)Washington University School of Medicine.
(4)NIH.
(5)Internal Medicine, Washington University, United States.
(6)WUSM.
(7)Washington University, United States.
(8)Department of Radiology, Washington University, St. Louis, Missouri.
(9)Neuroscience and Pediatric Critical Care, Children's Research Institute, Children's National Medical Center, United States.
(10)NHLBI, National Institutes of Health, United States
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2018 Mar 2. doi: 10.1152/ajpheart.00683.2017.[Epub ahead of print]
高齢者において血管硬化度が上がることは、循環器系の合併症のリスクの高まりと関連している。ウィリアムズ症候群や家族性大動脈弁上狭窄症の患者に診られるエラスチン不全も血管硬化を増進させ動脈狭窄につながる。我々はEln+/-マウスを用いて、動脈狭窄を伴う病理学的な血管硬化の増加が脳のような末端器官への血流の減少を引き起こしているという仮説を検証する。同時に、薬によって動脈の再造形が実現し、内腔径が増大して血流も改善するという仮説を立てた。これらの仮説を検証するために、超音波で調べた頸動脈の血流と、MRIを用いた動脈スピン標識による脳の血流を、野生株とEln+/-マウスで調べて比較した。その後、 K-ATPチャネル開口薬かつ血管拡張薬であるミノキシジルが、血管メカニズムや血流や遺伝子発現にどのように影響しているかを研究した。頸動脈と脳の血流はどちらも野生株のマウスよりEln+/-マウスのほうが少なかった。Eln+/-マウスをミノキシジルで治療したところ、野生株と同じ程度まで、血圧が下がり機能的血管硬化が低下した。ミノキシジルはEln+/-マウスの動脈径を改善し、頸動脈や脳の血流を回復させた。投薬を止めてから数週間にわたって効果は持続した。RNA系列分析の結果、治療を行ったグループでは127個の細胞外基質遺伝子の発現が異なっていることが明らかになった。これらの結果はエラスチン不全が末端器官の灌流に障害を与え、それが循環器障害のリスクを高めることにつながることを示している。ミノキシジルは、血圧を下げるにもかかわらず、末端器官の灌流を改善する。投薬を止めた後も、基質遺伝子の発現が変化し治療効果が継続することから、動脈が再造形されたことを示唆している。この再造形は遺伝的に、あるいは加齢に伴うエラスチン不全の患者に恩恵をもたらす可能性がある。
(2018年3月)
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